2009年02月13日

シゾイド(統合失調質)人格障害

 シゾイド人格障害(schizoid personality disorder)の診断は、修正の社会的引きこもりを示す患者に対してなされる。対人交流における彼らの辛さ、内向性、おだやかで抑制された感情は注目に値する。

 シゾイド人格障害を持つ人は、傍目にしばしば風変わりで周囲と隔絶し、孤独に見える(* 注:統合失調質人格障害は、日本精神学界で採用されている用語である。)

### DSM-IV-TR の 301.20
  強迫性パーソナリティ障害の判断基準 ###

A. 社会的関係からの遊離、対人関係状況での感情表現の周囲の限定などの広範な様式で、成人早期までに始まり、種々の状況で明らかになる。以下のうち4つ(またはそれ以上)によって示される。

(1)家族の一員であることを含めて、親密な関係を持ちたいとは思わない。またはそれを楽しく感じない。

(2)ほとんどいつも孤立した行動を選択する。

(3)他人と性体験をもつことに対する興味が、もしあったとしても、少ししかない。

(4)喜びを感じられるような活動が、もしあったとしても、少ししかない。

(5)第1度親族以外には、親しい友人または信頼できる友人がいない。

(6)他人の賞賛や批判に対して無関心に見える。

(7)情緒的な冷たさ。よそよそしさ。または平板な感情。

B. 統合失調症、「気分障害、精神病質に伴うもの」他の精神病性障害、または広汎性発達障害の経過中にのみ起こるものではなく、一般身体疾患の直接的な生理学作用によるものでもない。

注:統合失調症の発症前に基準が満たされている場合には、「病前」と付け加えられる。例:「シゾイドパーソナリティ障害(病前)」

*(「DSM-IV-TR 精神疾患の診断・統計マニュアル第4版、本文改訂版」「Diagnostic and Statistical Munual of Mental Disorders, 4th edition, Text Revision : DSM-IV-TR」より転載)

 疫学によれば、シゾイド人格障害の有病率について確立された知見はないが、一般人口の7.5%程度である可能性がある。性比は知られていないが、幾つかの研究では2対1の男女比が報告されている。

 この障害を持つ人は、人と接することの殆どあるいは全くない仕事に惹かれる傾向がある。あまり多くの人と接触する必要がないように彼らの多くは日中の仕事よりも夜間の仕事を好む。

 診断においては、初回の精神化診察で、シゾイド人格障害患者は落ち着かないように見えることがある。彼らはめったに視線を合わせず、面接者は患者が一刻も早い面接終了を熱望していると感じることがある。

 彼らの感情は萎縮しているか、超然としているか、或いは不当に深刻である。しかし、敏感な臨床医はそのよそよそしい態度の下に恐怖心を認めるだろうと推測される。

 患者は気軽にくつろいでいることが難しい。ユーモアを持とうとする患者の努力は、幼稚で的外れにみえることがある。発言は的を得ているが質問下の答えは短く、自発的な会話は避ける傾向がある。

 時に、変わった隠喩のような普通ではない言葉のあやを用いてみたり、また、無生物や形而上学的構造概念に魅了されたりする。心の中に、彼らがよく知らない、あるいは永いことあっていない人と親密であるといった、妥当とは思われない感覚を持っていたりする。

 意識には障害がなく、記憶力も良い。

 シゾイド人格障害患者は冷たく、超然とした印象を与える。毎日の出来事や他者との関係で、遠く離れて沈黙を守ったり、関わり合いの欠如を示す。彼らは物静かで疎遠、陰遁的で非社交的にみえる。

 他者との感情的きずなを殆ど必要とせず、あるいは求めもせず、自分の人生を追求する。彼らが流行の変化に追随することはありそうもない。

 このような人の生活史は、他の者には耐え難いと思うほどの、競争とは無縁の孤独な仕事における孤立した興味や成功を反映する。彼らの性生活は空想にのみ存在し、成熟した性欲をうやむやにすることがある。

 親密になれないため男性は結婚しないことがある。女性は結婚を望む積極的な男性と受動的に結婚することがある。

 シゾイド人格障害をもつ人は、通常、怒りをあらわに表現することが生害できない。彼らは人間的要素が介入しない数学や天文学などに多大なエネルギーを費やすことがあったり、また、動物をなつかせるのが非常にうまかったりする。一時的に流行する減食法や健康法、思想的運動、社会改良計画などに、特に個人的な関与を要求されない場合には、しばしば夢中になる。

 シゾイド人格障害をもつ人には自己に埋没し、白昼夢に耽っているように思われるが、見当識は正常である。彼らは攻撃的行動をとることがめったにないため、大部分の脅威は、現実のものであれ想像上のものであれ、空想上の全能感または断念によって処理される。

 彼らはしばしば孤独に見える。しかし、このような人は時にまぎれもなく独創的で創造的な観念を抱き、これを発展させて世界に開示することがある。

 鑑別診断においては、統合失調症患者や失調型人格障害患者とは対照的に、シゾイド人格障害患者では統合失調症の家族歴がなく、孤独的環境下なら職業的に成功することがある。また思考障害や妄想思考を示さない点で統合失調症患者と異なる。

 妄想性人格障害患者はシゾイド人格障害患者と多くの特性を共有するが、前者は、社会とより多くの関わり、攻撃的な言語的行動に彩られた病癖、自らの感情を他者に投影する傾向の強さを示す。感情的に抑制されていても、強迫性人格障害や回避性人格障害の患者は孤独を不快なものと経験し、過去の対象関係はさらに豊かであり、それほど自閉的な夢想にふけらない。

 理論的には、失調型人格障害とシゾイド人格障害の主な鑑別点は、失調型人格障害患者の方が、認知的、思考、行動、意思疎通における奇矯さの点で統合失調症患者にさらに類似している。

 回避性人格障害患者は、孤立していても活動への参加を強く望んでいる。それはシゾイド人格障害にはない特性である。

 経過と予後においては、シゾイド人格障害の始まりは通常、小児期早期である。すべての人格障害同様、シゾイド人格障害も長期的なものであるが、必ずしも修正持続するわけではない。統合失調症に移行する患者の割合は知られていない。

2009年02月03日

一般身体疾患による人格変化:ICD-10の判断基準

 人格障害者のうち、『一般身体疾患による人格変化』というのがある。

 つまり、代表的なものとして、てんかん、頭部外傷、脱髄疾患、感染性疾患、免疫疾患、内分泌疾患、代謝性障害、栄養障害…とこんなもんでも立派に人格障害を引き起こす。

 凶悪犯罪のうち、脳の損傷や脳機能不全によるものが原因とするものは珍しくはない。


 ICD-10においては、身体疾患に関連する精神疾患には2つ区分がある。その1つは脳の疾患、障害および機能不全による人格および行動の障害であり、もう一つは脳の損傷および機能障害ならびに身体疾患によるその他の精神疾患である。

### ICD-10 の F 07 脳疾患、脳損傷および脳機能不全
  による人格および行動の障害の判断基準 ###
(Personality and Behavioural Disorders Due to Brain Disease, Damage and Dysfunction)

G1. 脳の疾患や脳損傷または脳機能不全の客観的証拠(身体的診察・神経学的診察・臨床検査から得られる)、および/またはその病歴があること。

G2. 意識混濁や著明な記憶欠損を欠くこと。

G3. 惹起された人格障害または行動障害が、F 60-F 69に該当すると示唆する根拠がないこと。

▼F09.0 器質性人格障害(Organic personality disorder)

A. F 07 の全般基準を満たすこと。

B. 次の特徴のうち少なくとも3項が6ヶ月以上存在すること。

(1)目標指向性の活動を持続する能力において一貫した減弱を見ること。とくに、そのために、活動が長時間を要したり先延ばしになる。

(2)次の常置著変化のうち1項以上認めること。

 (a)情緒不安定(制御されず不安定で変動しやすい情緒表現)
 (b)環境にそぐわない多幸。浅薄で不適切な冗談
 (c)易刺激性、および/または怒りや焦燥の爆発
 (d)無欲性

(3)結果や社会的慣習を考慮することなく、欲求や衝動の表現を抑制することができていないこと(対象者は、盗み、不適切な性衝動、無茶食い、あるいは身心の不衛生さなどの反社会的行動にとらわれている。

(4)典型的には、次に示すような形式の認知障害をみる。

 (a)過度の猜疑心と妄想観念
 (b)宗教、あるいは「正義と悪」という点から他者の行動を堅苦しく分類するなど単一のテーマに関する過度のこだわり。

(5)疎遠、過包含、粘着性、過書などの特徴をともなう、言語表現の速度や表出の顕著な変化。

(6)性行動の変化(性欲減退あるいは性的嗜好の変化)
 
▼臨床特徴からみた亜型の特定

【特定例1】
 基準(1)と(2)(b)項の症状が著しく優位であれば仮性遅滞型や無欲型、(1)・(2)(c)および(3)項が優位であれば偽精神病性の型と考えてよい。(4)・(5)・(6)項がともにあれば、辺縁系てんかん性人格症候群の特徴とみなす。今のところこうした概念の何れも、独立して記載できるという妥当性は確定されていない。

【特定例2】
 必要であれば、次の型の分類が特定される。つまり、易変型、脱抑制型、攻撃型、無力型、妄想型、混合型、およびその他の型である。

▼F07.1 脳炎後症候群(Postencephalitic syndrome)

A. F 07 の全般基準を満たすこと。

B. 次の残遺性の神経学的機能障害のうち少なくとも1症状を認めること。

 (1)麻痺
 (2)聾
 (3)失語
 (4)構成失行
 (5)失算 

C. この症候群は、可逆的であり、その持続時間が24ヶ月を超えることは稀である。

【コメント】
 判断基準Cが、器質性人格障害(F 07.0)と主たる鑑別店である。
 ウイルス性はまた細菌性の脳炎後に起こった残遺性症状や行動変化は、非特異的なものであり、臨床診断にとって十分な根拠が提供されているわけではない。それらの症状には、次のものが含まれる:全身倦怠感、無欲性、易刺激性、認知機能の若干の低下(学習困難)、睡眠覚醒パターンの障害、性的行動の変化。

▼F07.2 脳震盪後症候群(Postconcussional syndrome)

注:この症候群の疾病分類上の地位は曖昧であり、F 07の最初にあげた判断基準のG1項は必ずしも確認できないことがある。しかしながら、この状態に関する研究を行うためには、次のような診断基準が推薦される。

A. F 07の全般基準を満たすこと。

B. 発症に至るまでの4週間に、意識消失を伴う頭部外傷の既往歴があること(脳波、脳の画像診断、あるいは眼心図などにおいて、脳損傷の客観的証拠を欠くことがある)。

C. 次のうち、少なくとも3項が存在する。

(1)不快な感覚や陣痛の愁訴、例えば、頭痛、めまい(ふつう真性めまいの特徴を欠く)、全身倦怠感、過度の疲労、騒音に耐えられない。

(2)情緒の変化、たとえば、易刺激性や情緒的不安定性(いずれも情緒的興奮やストレスによって容易な誘発または増強させられる)、ある程度の抑うつ、および/または不安。

(3)集中困難や精神的労作の遂行困難、および記憶障害の主観的訴え(心理検査などで明らかな異常はなく、客観的な証拠を欠く)。

(4)不眠。

(5)アルコールへの耐性の低下。

(6)心気的に超過大評価された観念や、病人に役割に甘んじるほどの、上記症状へのとらわれと脳損傷が永続的ではないかといった恐れ。

F07.08 脳疾患、脳損傷および脳機能不全による他の人格および行動の障害(Other organic personality and behavioural disorder due to brain disease, damage and dysfunction)

 脳疾患、脳損傷および脳機能不全によって、認知・情動・人格・行動における種々の障害が生じうる。それらの中には、F 07.0-F 07.2の項には分類できないものもある。しかし、そのような症候群は疾病分類学的に不確実であるので、「その他」として、ここに含めておくべきである。必要であれば、個々の特徴を表す為に、第5桁の数字を使ってよい。

2009年01月29日

一般身体疾患による人格変化

 DSM-IV-TRの判断基準においては、『パーソナリティ障害』には分類されない、『一般身体疾患による精神疾患』に分類される「一般身体疾患によるパーソナリティ変化」だが、米国における犯罪科学の研究においては、凶悪犯罪のうち、前頭葉の損傷などから由来された「一般身体疾患によるパーソナリティ変化」が原因であることは珍しい話ではないので、取り上げるとする。

 パーソナリティ変化を引き起こす一般身体疾患においては、代表的なものとして、てんかん、頭部外傷、脱髄疾患、感染性疾患、免疫疾患、内分泌疾患、代謝性障害、栄養障害などが挙げられる。

 人格変化とは、その人が他者と交流したり行動したりする際の根本的な点が変改したことを意味する。成人期に真の人格変化が起きたときには、臨床医は常に脳腫瘍を疑うべきとされる。しかし、厳密には、ほとんどすべての身体疾患が人格変化を引き起こしうる。このことはカプランのテキストでも指摘されている。

 疫学においては、身体疾患における人格特性の変化に関する信頼性の高い疫学資料は存在しない。特定の脳疾患における人格特性の特異な変化(例えばアルツハイマー型痴呆患者には受動的で自己中心的な行動が見られるなど)が報告されている。同様に、前頭葉に損傷を受けた患者には無関心が認められる。

 一般身体疾患による人格変化については、ここでいくつかの考察を要する。

### DSM-IV-TR の 310.1
  一般身体疾患によるパーソナリティ変化の判断基準 ###

A. その人の以前の特徴的なパーソナリティ様式からの変化を示している。持続的パーソナリティ障害(子供の場合、この障害は、正常発達からの著しい偏奇、または少なくとも1年以上継続する。その子供の通常の行動様式の著明な変化、に関するものである。

B. 病歴、身体診察、臨床検査所見からのこの障害が一般身体疾患の直接的な生理学的結果であるという証拠がある。

C.この障害は、他の精神疾患(他の)一般身体疾患による精神疾患を含む)ではうまく説明されない。

D. この障害は、せん妄の経過中にのみ起こるものではない。

E. この障害が、臨床的に、臨床的に著しい苦痛、または社会的、職業的、または他の重要な領域における機能の障害を引き起こしている。

▼病型を特定せよ
【不安定型】主要な特徴が感情不安定性である場合。
【脱抑制型】主要な特徴が衝動制御の不良で性的無分別などに表れる場合。
【攻撃性】主要な特徴が攻撃的行動である場合。
【無欲型】主要な特徴が著しい無気力と無関心である場合。
【妄想型】主要な特徴が疑い深さと妄想様概念である場合。
【その他の型】表出表情が上記の病型のいずれでも特徴付けられない場合。
【混合型】2つ以上の特徴が臨床像において優勢である場合。
【特定不能型】

*(「DSM-IV-TR 精神疾患の診断・統計マニュアル第4版、本文改訂版」「Diagnostic and Statistical Munual of Mental Disorders, 4th edition, Text Revision : DSM-IV-TR」より転載)

 ICD-10は脳疾患、脳腫瘍、脳機能不全による人格障害と行動の障害の診断を挙げており、それには器質性人格障害、脳炎後症候群と脳震盪後症候群が含まれる。(参照:『一般身体疾患による人格変化:ICD-10の判断基準
』)

 一般身体疾患における人格変化は、人間様式と人格特性の以前の機能からの顕著な変化によって特徴付けられる。人格変化に先行する原因となった、器質性存在するという証拠がなければならない。

 病因において、脳の構造上の損傷は、通常、人格変化の原因となる。頭部外傷は、おそらく最も一般的な原因であろうと推測される。脳の悪性新生物や血管性障害、特に側頭葉と前頭葉に生じたものもまたよくみられる原因である。しばしば人格変化に関する疾患には次のようなものもある。

### 一般身体疾患による人格変化 ###

I. 行動制御障害
攻撃性/衝動性
 情緒的攻撃性(癇癪[脳は正常])
 略奪的攻撃性(敵意/残酷さ)
 器質的攻撃性
 発作的攻撃性(脳波異常)

II. 感情調節障害
感情不安定
抑うつ症状
 非定型抑うつ、不快気分
 感情的遊離

III. 不安
慢性認知不安
慢性身心不安
重度の不安

IV. 精神病症状
急性精神病症状および精神病
慢性精神病症状および軽度の精神病様症状

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人格障害者から受ける被害から身を守るために

 因みに、結論から先に言えば、私については、そもそも「自我そのもの」がない私には人格障害や精神病というものはない被虐待児症候群のサバイバーで、重度のC-PTSDや極端な性嫌悪症の発作や、解離やストレスから生じる身体機能性障害などがある


 メモ的なものだが、個人研究における計画表として。

### 今回の個人研究の流れについて ###

社会の天敵になりやすいパーソナリティー障害』−2009年01月22日
人格(パーソナリティ)障害とは』−2009年01月23日
こういうときに困る話』−2009年01月23日
結局、困った話』−2009年01月23日
迷うところの話』−2009年01月24日
わかりにくい統合失調症を取り扱う前に』−2009年01月25日
統合失調症患者に朗報』−2009年01月26日
抑うつ性質について』−2009年01月28日


▼ 現在製作中の資料

### DSM-IV-TR でのパーソナリティ障害の区分 ###

【A群】
妄想性人格障害』(parampoid parsonality disorder - PPD) − 2009年01月27日
シゾイド(統合失調質)』(schizoid personality disorder) − 2009年01月27日
失調(統合失調)型人格障害』(schizotypal parsonality disorder) − 2009年01月25日

【B群】
反社会性』(antisocial personality disorder - APD) − 2009年01月23日
境界性』(boderline parsonality disorder BPD) − 2009年01月27日
演技性』(histrinoic personality disorder - HPD) − 2009年01月23日
自己愛性』(narcissistic parsonality disoder - NPD) − 2009年01月23日

【C群】
回避性人格障害』(avoidant personality disoder) − 2009年01月26日
依存性』(dependent personality disoder) − 2009年01月24日
強迫性』(obsessive-compulsive parsonality disorder) − 2009年01月27日
特定不能の人格障害:DSM-IV-TRの判断基準』 − 2009年01月28日
特定不能の人格障害:受動攻撃性』(passive-aggresive personality disorder) − 2009年01月28日
特定不能の人格障害:抑うつ性』(depressive personality disorder) − 2009年01月28日
特定不能の人格障害:サドマゾヒズム性人格障害』(sadomasochistic personality disorder) − 2009年01月28日
特定不能の人格障害:サディズム性人格障害』(sidistic personality disorder) − 2009年01月28日
特定不能の人格障害:一般身体疾患における人格変化』 − 2009年01月29日
判明した人格障害のメカニズム:精神生物学的治療』 − (未)
ICD-10:特定の人格障害の判断基準』 − (未)

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2009年01月28日

特定不能の人格障害

 DSM-IV-TRのこの診断区分は、前期の人格障害のいずれかにも適合しない障害のためのものである。受動−攻撃性人格障害と抑うつ性人格障害は現在、特定不能(not otherwise specifed : NOS)の人格障害の例として挙げられている。

 反抗、サディズム、マゾヒズムのような狭い範囲の行動様式や特性もここに分類される。

 2つ以上の人格障害の特徴をもつが、しかしどの人格障害の判断基準も十分に満たすことのない患者もここに分類される。

### DSM-IV-TR の 301.9
  特定不能のパーソナリティ障害の判断基準 ###

 このカテゴリーは、どの特定のパーソナリティ障害の基準を満たさないパーソナリティ機能の障害のためのものである(パーソナリティ障害の全般的診断基準参照)。

 その例としては、2つ以上の特定のパーソナリティ障害の特徴を持つが、どのパーソナリティ障害の特徴を満たしておらず("混合性パーソナリティ")、しかしそれらが一緒になって、臨床的に著しい苦痛、または1つ以上の重要な機能領域における(例:社会的または職業的)障害を引き起こしている場合である。

 このカテゴリーはまた、臨床家が、分類に含まれていないある特定のパーソナリティ障害を診断に用いることが適切であると判断した場合にも使用することが出来る。

 そうした例としては、抑うつ性パーソナリティ障害および受動攻撃性パーソナリティ障害がある。

*(「DSM-IV-TR 精神疾患の診断・統計マニュアル第4版、本文改訂版」「Diagnostic and Statistical Munual of Mental Disorders, 4th edition, Text Revision : DSM-IV-TR」より転載)

 但し、稀なケースでは、胎児期に被虐待児症候群を患った病歴がある場合、自我の完全消滅のため人格障害を引き起こしておらず、一過性の解離などで引き起こされる生体システムの崩壊から『抑うつ性質について』に記述したように、特定不能のパーソナリティ障害にも該当しないこともある。

 特定不能の人格障害に該当される『特定受動攻撃性』(passive-aggresive)と『特定抑うつ性』(depressive)は、現段階では「研究用基準案」が出されている状態にある。

 また、『抑うつ性パーソナリティ障害および受動攻撃性パーソナリティ障害』と、『抑うつ性パーソナリティ障害および受動攻撃性パーソナリティ障害』と『特定受動攻撃性』(passive-aggresive)と『特定抑うつ性』(depressive)の系はそれぞれ個別の系となる。


 尚、『抑うつ性パーソナリティ障害および受動攻撃性パーソナリティ障害』においては、「かつて環境の条件かで被虐を受けた後遺症」や「被虐を受けた、かつて環境の条件下にあった時と同等の条件値が原因で引き起こされるフラッシュバック」による障害が引き起こされた場合に生じるものであるので、常にPTSDやトラウマに接続されるような環境下におかれていない限りは発生しないものとなる。

 それは生体システムの正常に作動しているときに生じる現象となる。即ち、それは条件値によって条件反射的に生じるものであって持続するものでもない。つまり、基本となる人格の性質から来るものではなく、外傷性の後遺症から発生するものに相当されると考えたほうが自然である。

 これに該当する場合は、障害を発生させることのない環境に身を置く必要があり、整われた環境下ではこの障害は引き起こされることはない。

 また、このケースの場合には、トラウマティック・ストレス(PTSDおよびトラウマ反応)についての障害に該当するため、それに関する治療を要される。

### DSM-IV-TRにおいて
  特定不能の人格障害の系にあてられているもの
  および、公式の判断基準ではない人格障害 ###

特定不能の人格障害:受動攻撃性』(passive-aggresive personality disorder) − 2009年01月28日
特定不能の人格障害:抑うつ性』(depressive personality disorder) − 2009年01月28日

### DSM-IV-TRにおいて
  公式の判断基準ではない人格障害 ###

特定不能の人格障害:サドマゾヒズム性人格障害』(sadomasochistic personality disorder) − 2009年01月28日
特定不能の人格障害:サディズム性人格障害』(sidistic personality disorder) − 2009年01月28日

サディズム性人格障害

 サディズム性人格障害(sidistic personality disorder)はDSM-IV-TRには記載されていない。しかし、いまだに文献には登場し、記述的に使用されている。

 サディズム性人格障害患者の行動は成人期早期に始まり、残酷で、下品で、攻撃的であり、それは直接他者に向けられる。身体的な残酷性もしくは暴力は、他者に苦痛を与えるために用いられる。

 それには盗みを働くために誰かを襲うといった他の目的はない。

 この障害のある人は、他者の前で人に恥をかかせたり傷つけたりすることを好み、通常、特に子供を、異常に厳しく扱ったり折檻したりする傾向がある。


 一例として、FBI犯罪の行動科学のプロファイルでは、サディストの典型例をヒトラーに挙げ、ヒトラーの父親はこの典型例で、残虐行為を行ったヒトラーがかつては被害者だったことが挙げられている。彼はキリスト教における宗教思想から当時の歴史的背景からユダヤ人を危険因子と見なし虐殺を試みた。またヒトラーは天下を満たすアイテムとして聖なる槍を手に入れようとした。かつての被害者が加害者となるのは、PTSDが由来するストレスの可逆性で生じる殺傷傾向で、この殺傷エネルギーは内外働く、衝動性のものである。

 しかし、DV虐待を受ければサディストになれるのかといえばそういうわけでもない。被虐待児だからサディストになれるというものでもない。

### サディストに該当しない
   被虐待児の病歴を持つ者の場合 ###

 例えば、私のように暴力的なものは全て、幼児期までのトラウマにフラッシュバックを発生させて強烈な悲しみと苦しみで苛まれるケースに至る。ストレスが許容範囲を超えれば、自己殺傷傾向か、加害者に対して直接的にそのエネルギーが向けられる。一時的なスケールでは、サディスト性は発生しない。

 私は胎児期時に被虐待児症候群に陥っており、幼児期まで何度の被虐を受けているため、重度のC-PTSDを持っている。このため許容範囲異常のストレスを受けた状態が長時間あるいは長期間長く続けば、サディスト性が発生し、内省か外へ向けられる。しかし、これは条件値が揃えばの一時的なもので、その行為を行うことによって喜びは全く感じず苦しみの中で行われる。

 暴力や傷害は苦しみを有無危険因子であるので、必ずフラッシュバックが生じることからPTSDの障害に悩まされるようになる。このことから暴力や傷害に魅了されることはない。このため一般定義されている条件は満たしていない。 

 また、少なくとも、私には「サドとマゾ」の心理構造については全く理解できない。それはまったく別のものだからである。寧ろ、C-PTSDの発作が発生してしまうので見れない。


 一般にサディズム性人格障害患者は、暴力、武器、傷害もしくは拷問に魅惑される。

 この傷害と診断される場合、そのような人は自分自身の行動から性的興奮を得るという欲求のみによって動機付けられるのではない。

 もし、彼らが単に性的興奮を得ることのみによって動機付けられているならば、性的サディズムによるパラフィリア(性的倒錯)と判断すべきである。

サドマゾヒズム性人格障害

 サディズム、あるいはマゾヒズム、あるいは両者の混合した要素により特徴付けられる人格類型がある。

 精神医学において大きな臨床的、史的関心の対象であることから、サドマゾヒズム性人格障害(sadomasochistic personality disorder)を取り上げるとする。

 これはDSM-IV-TR、pしくはその付録の公式の判断基準ではないが、しかし特定の人格障害として診断できることから、『カプラン・臨床精神医学テキスト〜DSM-IV-TR診断基準の臨床への展開』p.881に取り上げられている。


 サディズムは、18世紀に他者に痛みを与えるとき性的喜びを経験する人について記載したサド(Marquis de Sade)の名に由来する。サディズムとは、一般に、性的虐待、肉体的、あるいは心理的に虐待することによって、他者に苦痛を与えたいとする欲求である。

 フロイトの説によれば、サディストは去勢不安を避けており、彼らは自分自身にされるだろうと恐れていることを他者にすることができるときのみ性的喜びを遂げることが出来ると考えた。


 マゾヒズムは19世紀オーストリアの小説家であるマゾッホ(Leopold Vpn Sacher-Masoch)の名に由来する。マゾヒズムとは、一般的に、いわゆる道徳的なマゾヒストと呼ばれる人は、身体的苦痛より寧ろ屈辱と失敗を求める。

 フロイトの説によれば、マゾヒストがオーガズムを達成する能力は、性交についての不安や罪意識によって妨げられており、それらは自ら自身の苦痛と罰によって軽減されると考えた。


 臨床的観察では、サディズムとマゾヒズムの行為の両方の要素が通常同一人物に存在する。

 精神分析学を含む洞察指向的精神療法の治療が効果的であった症例もある。

 治療の結果、患者は過大な無意識的罪悪感から二次的に生じる自罰要求に気づくようになり、また幼児期早期に起源を持つ彼らの抑圧された攻撃衝動を認めるようになる。

特定不能の人格障害:抑うつ性人格障害

 抑うつ性人格障害(depressive personality disorder)を持つ人は、生涯にわたる抑うつ人格的特性によって特徴付けられる。

 彼らは悲観的、快楽消失的、義務拘束的、自責的であり、そして慢性的に不幸である。

 この障害は、DSM-IV-TRにおいて新たに分類されたが、メランコリー性格はクレッチマー(Ernst Kretschmer)のような20世紀早期のヨーロッパの精神科医によって記述されている。(参照:『メランコリー - Wikipedia』・『気分障害 - Wikipedia』)

### DSM-IV-TR の
  抑うつ性パーソナリティ障害の障害の研究用基準案 ###

A. 抑うつ的な認知および行動の広範な様式で、成人期早期までに始まり、種々の状況で明らかになる。以下のうち少なくとも5項目(またはそれ以上)によって示される。

(1)通常の気分は、憂うつ、悲観、快活さのなさ、喜びのなさ、不幸感が優勢である。

(2)不適切さ、無価値感、および低い自尊心についての確信が自己概念の中心を占める。

(3)自分に対して批判的で自責的で、自分で自分をけなしている。

(4)くよくよ考え込み心配してしまう。

(5)他の人に対して拒絶的、批判的、非難がましい。

(6)悲観的である。

(7)罪悪感または自責感を感じやすい。

B. 大うつ病エピソードの期間中のみに起こるものではなく、気分変調性障害ではうまく説明されない。

*(「DSM-IV-TR 精神疾患の診断・統計マニュアル第4版、本文改訂版」「Diagnostic and Statistical Munual of Mental Disorders, 4th edition, Text Revision : DSM-IV-TR」より転載)

 疫学においては、抑うつ人格障害患者は新しい診新区分であるので、易学的特長はまだ得られていない。しかし、全人口におけるうつ病性障害の有病率を基礎として推測すると、抑うつ性人格障害はかなり多く、男性と女性に等しくみられ、うつ病性障害が認められる家族に出現すると考えられる。

 病因においては、抑うつ性人格障害の病因は知られていないが、気分変調性障害そして大うつ病性障害に関連する因子が作用している可能性があることが指摘されている。

 心理学的には、早期の喪失体験、親の不在、懲罰的超自我、そして過度の罪悪感である。

 生物学的には、視床下部−下垂体−副腎−甲状腺計に関連する、ノルアドレナリン作動系とセトロニン作動性アミン系である。

 気質についてのチェス(Stella Chess)の研究によって示されるように、遺伝性要因も一役を演じている。

 診断と臨床象においては、抑うつ性格の典型的記述は、ノワイエ(Arthur Noyes)とコルプ(Laurence Kolb)によって1963年に成された。

### ノワイエとコルプの抑うつ性格の典型的記述 ###

 彼らは生活における通常の喜びを殆ど感じず、孤独で、静かで、憂うつで、従順で、悲観的で、自己を軽蔑しがちである。後悔と不完全と絶望感を表明する傾向がある。

 しばしば小心で、完全主義で、過度に良心的で、仕事に気をとられ、責任を強く感じ、新しい状況下で勇気を失いやすい。彼らは反対を恐れ、密かに苦しむ傾向があり、通常他者の全面においてではないが、おそらく簡単に泣くであろう。躊躇と優柔不断と用心深い傾向は、生来の不安定な感情を表す。

 ごく最近、アキスカル(H. Akiskal)は抑うつ性特性の7群を記述した。

### アキスカルの抑うつ性特性の7群 ###

(1)物静かで、内向的、受動的、優柔不断。
(2)憂うつ、悲観的、真剣、楽しむことが出来ない。
(3)自己批判的、自責的、自己軽蔑的。
(4)他者に懐疑的、批判的で、なかなか喜ばない。
(5)良心的、責任感があり、自己規律的。
(6)考え込み、悩みを抱え込む。
(7)失敗を気にし、不全感を持ち、短所を気にする。

 抑うつ性人格障害患者は、不幸であるという慢性的感覚を訴える。彼らは自尊心が低いことを認め、人生において楽しんだり、希望を持ったり、あるいは楽天的になれる何かをみつけることが困難であると感じている。

 仕事、自分自身、そして他者との関係を低く評価する傾向がある。また自己批判的で、軽蔑的である。彼らの相貌学的特徴は、しばしば彼らの気分を反映して気力に乏しい態度、抑うつ的な顔つき、かすれた声、そして精神運動性活動は暖徐である。

 鑑別診断においては、気分変調性障害は、抑うつ性人格障害患者で見出されるより大きな気分の変動によって特徴付けられる気分障害である。

 気分変調性障害は挿話性で、何時でも起こり、通常、原因となるストレス因子があるのに対し、抑うつ性人格障害は慢性的で障害継続する。

 抑うつ性格は、気分変調性障害と大うつ病障害がより重篤な異型であるという一種の感情状態の一部を成すものとして概念化されうる。

 経過と予後においては、抑うつ性人格障害患者は、気分変調性障害と大うつ病障害に至る危険が高いと考えられる。クライン(Donald Klein)とミルズ(Gregory Milis)による最近の研究では、抑うつ性格の人は抑うつ性格ではない対象群より現在の気分障害、障害の気分障害、大うつ病そして気分変調症の比率が優位に高かった。

 治療においては、精神療法が抑うつ性人格障害に対して選択される。患者は洞察指向的精神療法に反応する。彼らは現実検討がよいため、疾患の精神力動への洞察を得ることが出来、そして対人関係におけるその効果を認めることが出来る。

 治療は長期間にわたる傾向がある。認知療法は、患者が自らの低い自尊心と悲観主義の認知的発現を理解する助けとなる。有効な他の精神療法は集団精神療法と個人精神療法である。自己援助療法に反応する人もいる。

 私的な知見では、集団における環境でPTSDやC-PTSDがある場合には、条件値によっては、障害が発生する可能性が高いため、集団精神療法は有効でないと考える。

特定不能の人格障害:受動攻撃性人格障害

 受動−攻撃性人格障害(passive-aggresive personality disorder)患者は、引き伸ばし、強情さと非効率によって特徴付けられる。このような行動は、潜在的な攻撃性の発現であり、それは受動的に表現される。

 DSM-IV-TRにおいて、この障害は拒絶性人格障害(negativistic personality disorder)とも呼ばれる。

### DSM-IV-TR の
  受動攻撃性パーソナリティ障害の研究用基準案 ###

A. 適切な行為を求める要求に対する拒絶的な態度と受動的な抵抗の広範な様式で、成長期までに始まり、種々の状況で明らかになる。以下のうち4項目(またはそれ以上)によって示される。

(1)日常的な社会的および職業的課題を達成することに受動的に抵抗する。

(2)他人から誤解されており適切に評価されていない不満を述べる。

(3)不機嫌で論争をふっかける。

(4)権威のある人物を不合理に批判し軽蔑する。

(5)明らかに自分より幸運な人に対して、羨望と憤りを表現する。

(6)個人的な不運に対する愚痴を誇張して口にし続ける。

(7)敵意に満ちた反抗と悔恨の間を揺れ動く。

B. 大うつ病エピソードの期間中にのみ起こるものではなく、気分変調性障害ではうまく説明されない。

*(「DSM-IV-TR 精神疾患の診断・統計マニュアル第4版、本文改訂版」「Diagnostic and Statistical Munual of Mental Disorders, 4th edition, Text Revision : DSM-IV-TR」より転載)

 疫学においては、この障害の英気額について活用できる資料はない。性比、家族背景、有病率は、十分に研究されていない。

 診断においては、上記の判断基準以外のデータはない。

 臨床像においては、受動−攻撃性人格障害の患者は、性格的にぐずぐずしており、適切に行動するように強制されることに抵抗し、ぐずぐずしていることに対し言い訳を探し、自分が依存している人の欠点を探す。また依存関係から抜け出すことを拒絶する。

 彼らはいつも自己主張を欠き、そして自分自身の要求と要望について率直ではない。彼らは自分に期待されているかについて必要な質問をすることが出来ず、成功を強いられたとき、あるいは自分自身に対する怒りをそらす通常の防衛が取り去られたとき、不安を生じる。

 対人関係では、受動−攻撃性人格障害患者は、自分自身を依存的立場に置くように試みる。しかし、彼らの受動的で自分に不利益な行動はしばしば他者には懲罰的で操作的に受け止められる。

 受動−攻撃性人格障害の身近な人間関係は、平穏でも満足のいくものでもない。患者は自分が満足することよりも恨みがましく思う気持ちにより強くとらわれているため、楽しむために何が望みなのか主張することすら決してしない。

 この障害のある人は自信に欠き、そして将来に対して非常に悲観的である。

 鑑別診断においては、受動−攻撃性人格障害は『演技性人格障害』と『境界性人格障害』から鑑別する必要がある。

 しかし、受動−攻撃性人格障害患者は演技性や境界性人格障害より華やかであったり、演技的、感情的であったり、そして攻撃性をあからさまにしたりすることは少ない。

 経過と予後においては、100例の受動−攻撃性入院患者の平均11年の研究過程でスモール(Ivor Small)は、そのうち54例の最初の診断が受動が受動−攻撃性人格障害であり、うち18例はアルコール乱用者でもあり、また30例は臨床的にうつ病と診断されたことを見出した。

 前述の患者の73例のうち、58例(79%)は持続的な精神科的問題をもっており、9例(12%)は症状なしと見なされた。大多数は焦燥感と不安にとらわれ抑うつ的であった。

 身体的問題も非常に多かった。32例(44%)のみが、常勤の就労者もしくは主婦として働いていた。責任放棄と自殺企図は多いが、その間自殺したのは1例だけであった。28例(38%)が再入院したが、統合失調症とされたのは3例のみであったという。

 治療においては、支持的精神療法を受ける受動−攻撃性人格障害患者
は予後がよい。

 しかし、受動−攻撃性人格障害患者の精神療法には多くの落とし穴があることが指摘されている。

 彼らの要求を満たすことはしばしば彼らの病理を支持することになるが、彼らの要求を拒絶することは彼らを拒否することに相当する。このように治療は患者が依存したいことを望んでいる治療者に対して恨みの勘定を表現する格闘の場となりうる。

 受動−攻撃性人格障害患者については、臨床医は大うつ病性障害の対象損失を治療するようにではなく、隠された怒りの表現を扱うように自殺の素振りを扱わなくてはならない。治療者は受動−攻撃的行動の結果起こりうる帰結を、その行動が取られた時点で指摘しなければならない。そのような表面化は、患者の行動を変える上で正確な解釈よりいっそう有効である。

 抑うつの臨床的徴候と自殺の可能性が存在するときのみ抗うつ薬を処方すべきであることがDSM-IV-TRでは定められている。

2009年01月27日

強迫性人格障害

 強迫性人格障害(obsessive-compulsive parsonality disorder)は情緒の萎縮、秩序性、忍耐、強情さと優柔不断によって特徴付けられる。この障害に不可欠な特徴は、さまざまな形の完全主義と柔軟性のなさである。ICD-10ではこの障害は、強迫性人格障害(anankastic personality disorder)と呼ばれる。

### DSM-IV-TR の 301.4
  強迫性パーソナリティ障害の判断基準 ###

秩序、完全主義、精神および対人関係の統一性にとらわれ、柔軟性、開放性、効率性が犠牲にされる広汎な様式で、成人期早期までに始まり、種々の状況で明らかになる。以下のうち4つ(またはそれ以上)によって示される。

(1)活動の主要点が見失われるまでに、細目、規則、一覧表、順序構成、または予定表にとらわれる。

(2)課題の達成を遂げるような完全主義を示す。(例:自分自身の過度に厳密な基準が満たされないという理由で、1つの計画を完成させることが出来ない)

(3)娯楽や友人関係を犠牲にしてまで仕事と生産性に過剰にのめり込む。(明白な経済的な必要性では説明されない)

(4)道徳、倫理、または価値観についての事柄に、過度に誠実で良心的且つ融通がきかない。(文化的または宗教的同一化では説明されない)

(5)感傷的な意味のない場合でも、使い古した、または価値のないものを捨てることが出来ない。

(6)他人が自分のやるやり方どうりに従わない限り、仕事を任せることが出来ない、または一緒に仕事をすることが出来ない。

(7)自分のためにも他人のためにも、けちなお金の使い方をする。お金は将来の破局に蓄えておくべきものと思っている。

(8)堅苦しさと頑固さを示す。

*(「DSM-IV-TR 精神疾患の診断・統計マニュアル第4版、本文改訂版」「Diagnostic and Statistical Munual of Mental Disorders, 4th edition, Text Revision : DSM-IV-TR」より転載)

 疫学においては、強迫性人格障害の有用率は知られていない。男性が女性より多く、年長の子供によく診断される。一般人口より、この障害のある人の第1度親族に起こりやすい。患者はしばしば厳しい規則によって特徴付けられる背景を持っている。

 フロイトは、この障害は一般的に2歳前後の精神・性的発達段階の肛門期に障害があるという仮説を立てた。しかし、種々の研究で、その理論は立証されていない。

 診断においては、面せ何時では、強迫性人格障害患者は、不自然で、形式ばった、そして堅い態度を呈する。彼らの感情は鈍かったり平坦であることはないが、萎縮していると記述される。

 彼らは自然さを欠いており、彼らの気分は通常研ぎ覚まされている。そのような患者は、面接が型通り行われないと不満を感じるであろうと推測される。質問に対する彼らの回答は、詳細を極めている。彼らが使う防衛機制は、合理化、隔離、知性化。反動形成、打消しである。

 脅迫製人格障害患者は、習慣性、規則性、順序、きちんとしていること、詳細、完全性の達成に執着する。それらの特性は、人格全体の萎縮を説明する。

 このような人は形式張っていて真剣で、しばしばユーモアの感覚に欠けている。彼らは厳密に規則に従うことを主張し、不完全であると思われることを容認することが出来ない。彼らはそれゆえに柔軟性を欠き、狭量である。仕事が固定化されていて、適応できないような変化を要求されないなら、長期的な仕事が出来る。

 強迫性人格障害者の対人関係技能は限定されている。彼らは人を疎外し、妥協することが出来ず、そして他者が彼らの要求に従うことを主張する。しかし、彼らは自分より強く見える人を喜ばせ、それらの人の要望を権威主義的方法で達成することを熱望している。失敗への恐れから、優柔不断であり決断するに際してはあれこれと思いを巡らす。安定した結婚と職業上の適応を達成することは難しく、強迫性人格障害患者には友人が少ない。

 生活の規則や定められた安定性を乱す脅威となるものは全て、患者を大きな不安に陥れる。不安は通常、彼らが自分の生活に課したり、他の人に負わせようとする儀式によって抑止されていると予測されている。

 他の人格障害患者と異なり、強迫性人格障害患者は自ら苦しんでいることに気がついており、自分自身で治療を求める。

 鑑別診断においては、反復する脅迫あるい衝動が存在するとき、脅迫人格障害はI軸に帰されるべきである。おそらく最も難しいのは、いくらか脅迫特性がある患者と強迫性人格障害の患者との鑑別である。職業もしくは社会生活が著しく阻害されている患者は人格障害と診断すべきである。症例によっては妄想性人格障害が人格障害と併存するので周囲を要する。

 経過と予後においては、強迫性人格障害の経過はさまざまで予測不可能である。時折強迫観念または脅迫行為がこの人格障害の経過中に発展することがある。青年期に強迫性人格障害だった人が開放的で温かい愛情のある成人になることもある。しかし、この障害が統合失調症の前兆であったり、あるいは10年後、そして彼により悪化し大うつ病性障害に至ることもある。

 強迫性人格障害患者は、丹念な込み入った仕事が探求される立場ではうまくいかないかもしれないが、しかし予想外の変化に弱く、個人的生活は不毛のままである。うつ病性障害(特に晩発性のもの)はよく見られる。

 精神療法においては、集団療法と行動療法は時に明らかな効果をあげる。

妄想性人格障害

 妄想性人格障害(parampid personality disoder)患者は、人間全般への長期にわたる邪推と不信によって特徴付けられる。彼らは自分の感情に対する責任を拒み、これを他者のせいにする。

 彼らはしばしば敵対的でイライラし、怒りを抱いている。偏屈者、あら捜しの激しい人、病的に嫉妬深い配偶者、好訴的な変人には、しばしば妄想性人格障害がある。

### DSM-IV-TR の 301.0
  妄想性パーソナリティ障害の判断基準 ###

他人の動機を悪意のあるものと解釈するといった広範な不信と疑い深さが成人期早期までに始まり、種々の状況で明らかになる。以下のうち4つ(またはそれ以上)によって示される。

(1)十分な根拠もないのに、他人が自分を利用する。危害を加える。または騙すという疑いを持つ。

(2)友人または仲間の誠実さや信頼を不当に疑い、それに心を奪われている。

(3)情報が自分に不利に用いられるという根拠のない恐れのために、他人に秘密を打ち明けたがらない。

(4)悪意のない言葉や出来事の中に、自分をけなす、または脅す意味が隠されていると読む。

(5)恨みを抱き続ける。つまり、侮辱されたこと、傷つけられたこと、または軽蔑されたことを許さない。

(6)自分の性格または評判に対して他人にはわからないような攻撃を感じ取り、直ぐに怒って反応する。または逆襲する。

(7)配偶者または性的伴侶の貞節に対して、繰り返し道理に合わない疑念を持つ。

B. 統合賞失調症、「気分障害、精神病性の特徴を伴うもの」、または他の精神病性障害の経過中にのみ起こるものではなく、一般身体疾患の直接的な生理学的作用によるものではない。

注:統合失調症の発症前に基準が満たされている場合には、「病前」と付け加える。例:「妄想性パーソナリティ障害(病前)」

*(「DSM-IV-TR 精神疾患の診断・統計マニュアル第4版、本文改訂版」「Diagnostic and Statistical Munual of Mental Disorders, 4th edition, Text Revision : DSM-IV-TR」より転載)

 疫学によれば、妄想性人格障害の有病率は、0.5〜2.5%である。この障害の人が自ら治療を求めることはめったにない。配偶者や雇用者によって治療に連れて来られるが、彼らは自分で苦しんでいるようには見えない。

 投稿失調症患者の親族は、対照群より妄想性人格障害の発生率が高い。男性が女性より多く、家族性の様式を持つように思われない。同性愛者間での有病率は一時高いと考えられていたが、通常と変わらない。しかし、少数民族、移民、難聴者では、一般人口より有病率が高いと考えられる。

 診断においては、神経科の診察面では、妄想性人格障害患者は態度が堅苦しいことがあり、精神医学的援助を受けたほうがよいと告げられると困惑したように見せることがある。筋肉は緊張し、くつろげず、何かの手掛かりを求めて周囲の状況を仔細に調べようとし、しくさはしばしばユーモアに欠け、深刻である。

 主張の幾つかの前途が間違っているのに関わらず、患者の話は単刀直入で論理的である。彼らの思考内容は、投影、偏見、時に関係念慮を呈する。

 妄想人格障害者の本質的特長は、他者の行動を故意の振る舞いあるいは脅迫と解釈する。広汎で不当な傾向にある。この傾向は、成人期早期までに始まり、さまざまな状況の中で現れる。

 この障害を持つ患者は、ほとんど必ず、他者によって何らかの方法で不当にりようされたり傷つけられると予断している。彼らはしばしば正当な理由もなく、友人や同僚の忠誠心や信頼関係に疑いを持つ。

 そのような人々は、しばしば病的に嫉妬深く、理由もなくその配偶者や同棲者の貞節を疑う。この障害を持つ人は、自分自身の情動を外在化し、投影の防衛機制を用いる。

 即ち、自分自身で受け入れがたい衝動や想念を他者のせいにする。関係念慮や論理的防衛のほどこされた錯覚がよく見られる。

 妄想性人格障害患者は感情的に抑制され、情緒時ではないようにみえる。彼らは合理的で客観的であることを誇るが、実はそうではない。温かみに欠け、権力や階級には心酔し秘やかな敬意を払う一方で、自らの目に弱者や病人、障害者、何か欠陥があると映るものには軽蔑を示す。

 社会的状況下で、妄想性人格障害を持つ人はテキパキしており有能であるように見えることもあるが、しばしば他者に恐怖や葛藤を抱いている。

 鑑別診断においては、妄想人格障害は通常、固定した妄想の欠如によって妄想性障害と鑑別される。妄想型統合失調症患者と異なり、人格障害では、幻覚や思考障害が認められない。

 妄想性人格障害は、めったに他者との込み入った関係をもてないことから、境界性人格障害とも区別される。妄想性患者には、反社会性人格が示す反社会的行動の長い病歴に欠けている。シゾイド人格障害を持つ人は引き篭りで孤立しており、妄想的観念は持っていない。

 経過と予後においては、十分な系列的長期研究は行われていない。

境界性人格障害

 境界性人格障害(boderline personality disorder)患者は神経症と精神病の境界に位置し、非常に不安定な感情、気分、行動、対象関係と自己像によって特徴付けられる。

 この障害は人格(as-if personality : Helene Deutsch)、偽神経症性分裂病(pseudoneurotic schizophrenia : Paul Hoch and Phillip Polatin)、そして精神病的性格(psychotic character : Jhon Frosch)とも呼ばれた。ICD-10では情緒不安定性人格障害(emotionally unstable personality disorder)とも呼ばれている。


### DSM-IV-TR の 301.83
  境界性パーソナリティ障害の判断基準 ###

対人関係、自己像、感情の不安定および著しい衝動性の広範な様式で、成人期早期までに始まり、種々の状況で明らかになる。以下のうち5つ(またはそれ以上)によって示される。

(1)現実に、または想像の中で見捨てられることを避けようとするなりふり構わない努力。
注:基準5で取り上げられる自殺行為または自傷行為は含めないこと。

(2)理想化とこき下ろしとの両極端と揺れ動くことによって特徴付けられる。不安定で激しい対人関係様式。

(3)同一性障害:著明で持続的な、不安定な自己像、または自己感

(4)自己を傷つける可能性にある衝動性で、少なくとも2つの領域にわたるもの(例:浪費、性行為、物質乱用、無謀な運転、無茶食い)
注:基準5で取り上げられる自殺行為または自傷行為は含めないこと。

(5)自殺の行動、そぶり、脅し、または自傷行為の繰り返し。

(6)顕著な気分反応による感情不安定性(例:通常は2〜3時間持続し、2〜3日以上継続することはまれな、エピソード的に起こる強い不快気分、いらだたしさ、または不安)

(7)慢性的な空虚感。

(8)不適切で激しい怒り、または怒りの制御の困難(例:しばし癇癪を起こす、いつも起こっている。取っ組み合いの喧嘩を繰り返す。)

(9)一過性のストレス関連性の妄想様概念または重篤な解離性症状。

*(「DSM-IV-TR 精神疾患の診断・統計マニュアル第4版、本文改訂版」「Diagnostic and Statistical Munual of Mental Disorders, 4th edition, Text Revision : DSM-IV-TR」より転載)

 疫学においては有病率研究はないが、しかし、境界性人格障害は人口の約1〜2%に存在し、女性は男性の2倍であることが考えられている。大うつ病性障害、アルコール使用障害と物質乱用の有料率の増加が、境界性人格障害者の第1度親族にみられる。

 診断においては、DSM-IV-TRでは、上記の診断基準の少なくとも5つを患者が示したとき、成人期早期に境界性人格障害と診断されうる。

 急速眼球運動(rapid eye movement : REM {レム})潜時の短縮と睡眠持続の障害、デキサメタゾン抑制試験の異常、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン試験の異常を示す境界性人格障害患者がおり、生物学的研究は診断の手助けとなる場合がある。しかし、このような変化はうつ病性障害でみられることがある。

 境界性人格障害患者は、ほとんど常に危機的状況にあるようにみえる。気分変動はよくみられる。感情はある瞬間には議論好きであるが、次に抑うつであり、そして別の機会には何も感じないと訴える。

 患者は完全な精神病状態より、むしろ短期間の精神病(いわゆる症精神病的状態)を示すが、境界性人格障害患者の精神病症状はほとんど常に限定的で、つかの間で、あるいは疑わしいものである。

 境界性人格障害患者の行動は、予測するのが極めて難しく、めったに自分の能力に見合うことを成し遂げない。彼らの人生の痛ましい本質は、反復性の自己破滅行為にある。このような患者は他者の助けを引き出すため、怒りを表現するため、或いは、抵抗できない感情から自分自身を麻痺させるために手首を切ったり他の自傷行為を演じたりする。

 境界性人格障害患者は依存心と敵意の両方を感じているため、対人関係が不安定である。彼らは親密な人に依存するが、失敗したときには親しい友人にも非常に大きな怒りを表現する。しかし、境界性人格障害者は独りでいることに耐えられず、たとえ十分満足できない仲間であろうとも、必死に仲間づきあいを求めることを選ぶ。

 孤独を和らげるために、たとえ短期間であるにせよ、見知らぬ人を友人として受け入れたり、あるいは乱交関係を持つ。彼らはしばしば慢性的な空虚感や退屈感、そして一貫した価値観の欠如(同一性拡散)を訴える。圧迫感を感じているときは、彼らはさまざまな感情を抜きにしていつも非常に抑うつ的であると訴える。

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2009年01月26日

回避性人格障害

 回避性人格障害(avoidant personality disorder)患者は拒絶に対して極端な感受性を示し、それがために社会的に引きこもる。彼らは非社交的であるのではなく、人と交際することを強く望むが恥かしがり屋であり、無批判に受容されるという強い保障を異常なほど必要とする

### 一例 ###

 その状態は、日常生活において表す。はんろん例えば社会問題についての議論や科学の討論などの場で見る事が出来る。

 即ち、この障害を持つ人は、、議論上で討論することが出来ない。質問に答えることも出来ない。質問について、わからないことについて、そのまま「わからない」と答えることも出来ない。質問することも出来ない。

 このような人は、一般に劣等感を持っているように見られる。ICD-10ではこのような患者は、不安性人格障害(anxios personality disorder)と分類される。


### DSM-IV-TR の 301.22
  失調型パーソナリティ障害の判断基準 ###

社会的制止、不全感、および否定的評価に対する過敏性の広範囲な形式で、成人期早期までに始まり、種々の状況で明らかになる。以下のうち4つ(またはそれ以上)によって示される。

(1)批判、否認、または拒絶に対する恐怖のために、重要な対人接触のある職業的活動を避ける。

(2)好かれていると確信できなければ、人と関係を持ちたいと思わない。

(3)恥をかかされること、またはばかにされることを恐れるために、親密な関係の中でも遠慮を示す。

(4)社会的な状況では、批判されること、または拒絶されることに心がとらわれている。

(5)不全感のために、新しい対人関係状態で静止が起こる。

(6)自分は社会的に不適切である。人間として長所がない。または他の人より劣っていると思っている。

(7)恥ずかしいことになるかもしれないという理由で、個人的な危険を犯すこと、または何か新しい活動に取り掛かることに、異常なほど引っ込み思案である。

*(「DSM-IV-TR 精神疾患の診断・統計マニュアル第4版、本文改訂版」「Diagnostic and Statistical Munual of Mental Disorders, 4th edition, Text Revision : DSM-IV-TR」より転載)

 疫学によれば、回避性人格障害の有病率は1から10%で、一般的によく見られる。性別や家族性について有用な情報はない。臆病な気質を持つと分類された幼児は、活動−接近(activity-approach)尺度で高得点を示した子供よりこの障害になりやすい。

 診断において、臨床的面接における最も著しい所見は、面接者と話すことについての患者の不安である。患者の神経質で緊張した態度は、面接者が彼らに好意を持っているかどうかで態度が変化するようにみえる。

 患者は面接者の意見や支持に揺らぎやすく、説明や解釈を批判とみなしてしまう。

 他者による拒絶への過剰な感受性は、回避性人格障害の中心となる臨床的特徴である。この障害のある人は、人との交際において暖かさと安全性を求めるが、拒絶の恐れを主張することで交際の回避を正当化する。

 人と話をしているとき、彼らは不安と自信のなさを表し、控えめな態度で話す。彼らは拒絶に対して過度に用心深いため、大衆の面前で話すことや、他者から要求されることを恐れている。また、他者の解釈を軽蔑、あるいは嘲笑と捉えがちである。どのような要求であれ、それが拒絶されると、引き篭り、傷つけられたと感じる。

 この障害を持つ患者は、職業生活においては、しばしば脇に回るような仕事をする。彼らは十分な昇進を達成したり、権力を行使することは滅多にない。その代わりに、職場では彼らは単に内気で、しきりに人に気に入られようとする。

 この障害のある人は、無批判に受け入れられると強く保証されない限りは、一般に新しい人間関係を持ちたがらない。結果的に、彼らはしばしば親密な友人も、私的な問題を相談できるような信頼の置ける友人を持っていない。

 鑑別診断においては、孤独を好むシゾイド人格障害者と比較すると、回避性人格障害患者は、社会的関係を求める。回避性人格障害患者は境界性や演技性の人格障害患者のように要求的、易刺激的あるいは予測可能ではない。

 回避性人格障害と依存性人格障害は同類である。依存性人格障害患者は、回避性人格障害患者より、いっそう見捨てられることと、嫌われることについて強い恐怖感を持つと推定される。しかし臨床像では判別できないことがある。
 
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2009年01月25日

失調(統合失調)型人格障害

 失調型人格障害(schizotypal personality disorder)の人は、精神医学の専門家でない一般の人の目にとってさえ、著しく風変わりで奇妙に見える。魔術的思考、風変わりな信念、関係念慮、錯覚と現実感喪失は、失調型人格障害患者の日常の一部をなす。

 統合失調症型人格障害は日本精神神経学会で採用されている用語である。


### DSM-IV-TR の 301.22
  失調型パーソナリティ障害の判断基準 ###

A. 親密な関係では急に気楽でいられなくなること、そうした関係を形成する能力が足りないこと、及び、認知的、または、知覚的歪曲と行動の奇妙さのあることの目立った、社会的および対人関係的な欠陥の広範な様式で、成人早期までに始まり、種々の状況で明らかになる。以下のうち5つ(またはそれ以上)によって示される。

(1)関係念慮(関係妄想は含まない)

(2)行動に影響し、下位文化的規範に合わない奇妙な信念、または魔術的思考(例:迷信深い事、千里眼、テレパシー、または「第六感」を信じること。)

(3)普通でない知覚体験、身体的錯覚も含む。

(4)奇妙な考え方と話し方(例:あいまい、まわりくどい、抽象的、細部に拘りすぎ、紋切り型)

(5)疑い深さ、または妄想様観念。

(6)不適切な、または限定された感情

(7)奇異な、奇妙な、または特異な行動または外見

(8)第1親族以外には、親しい友人または信頼できる人がいない。

(9)過剰な社会不安があり、それは慣れによって軽減せず、また自己卑下的な判断よりも妄想的恐怖を伴うことがある。

B. 統合失調症、「気分障害、精神病性の特徴を伴うもの」、他の精神病性障害、または広汎性発達障害の経過中にのみ起こるものではない。

注:統合失調症の発症前に基準が満たされている場合には「病前」と付け加えられる。例:「失調型パーソナリティ障害(病前)」

*(「DSM-IV-TR 精神疾患の診断・統計マニュアル第4版、本文改訂版」「Diagnostic and Statistical Munual of Mental Disorders, 4th edition, Text Revision : DSM-IV-TR」より転載)

 疫学においては、人口の約3%に発生し、性比は知られていない。対照群に比べ、統合失調症患者群との生物学的血縁関係が高く、二卵性双生児よりも一卵性双生児で発生率が高い。(ある研究では4%対33%)

 勿論、統合失調症の研究においては、真っ先に取り上げられるものが生物学的血縁関係による研究で双子の研究の例がまず取り上げられる。これについては後日、『わかりにくい統合失調症』で取り上げる予定としている。

 失調型人格障害は、患者の奇妙な思考や行動、外観の特色に基づいて診断される。患者の意思疎通の仕方が通常と異なっているため、病歴聴取は困難なことがある。

 失調型人格障害患者では思考と意思疎通が阻害されている。あからさまな思考障害はないものの、彼らの話は独特で一風変わっていて、彼らにだけ意味を持つような、しばしば解釈を要するものであったりする。

 統合失調症患者と同様に、失調型人格障害患者は自分自身の感情に無頓着だが、他者の感情はおそろしく敏感に感知し、特に怒りのような陰性感情には敏感である。

 迷信的であったり千里眼の力を主張したり、思考や洞察力の特殊な力を備えていると信じていたりする。内的世界は想像上の生々しい関係や、子供じみた恐怖感や空想で満たされている。彼らは錯覚、即ち大視症があることを認め、他の人が木か何かで出来ているように思えると告白したりする。

 失調型人格障害患者の対人関係は乏しく、しかも場違いな行動を取ったりするため、孤立し、友達がいるとしてもごくわずかである、患者は境界性人格障害の特徴を示すことがあり、実際に両方の診断が下されることもある。

 ストレス下では、失調型人格障害者はそれを代償できず精神病症状を呈することもあるが、それは通常短期間である。重症例では快楽喪失と重篤な躁鬱状態が存在する。

 鑑別診断においては、理論的には、失調型人格障害の患者は、行動、思考、認知と意思疎通における奇妙さの存在、そしておそらく明瞭な統合失調症の家族暦の存在によって、シゾイド人格障害や解離性人格障害患者とは区別されうる。

 失調型人格障害患者は、精神病症状がないことにより統合失調症患者とは区別される。仮に、精神病症状が現れても、それらは短期間で断片的である。

 失調型人格障害と境界性人格障害の両方の判断基準を満たす患者もいる。

 妄想性人格障害患者は、猜疑心の強さによって特徴付けられるが、失調型人格障害者患者にみられる奇妙な行動はない。

 
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2009年01月24日

依存性人格障害

 依存性人格障害(dependent personality disoder)の人は、自分の要求を他者の要求より軽視し、生活における重要な領域の責任を他者に預け、自信に欠け、長い時間独りでいると激しい不安を感じる事がある。

 この状態は受動−依存性格(passive-dependest personality)と呼ばれてきた。

 フロイトは、依存、悲観、性への恐怖、自己不信、受動性、被暗示性、忍耐のなさによって特徴付けられる、人格における口唇依存の次元を記述した。

 フロイトの記述は、DSM-IV-TRの依存性人格障害の診断区分と類似している。


### DSM-IV-TR の 301.6
  依存性パーソナリティ障害の判断基準 ###

面倒を見てもらいたいという広範囲で過剰な要求があり、そのために従属的でしがみつく行動を取り、分離に対する不安を感じる。成人期早期までに始まり、種々の状況で明らかになる。以下のうち5つ(またはそれ以上)によって示される。

(1)日常の事を決めるにも、他の人たちからありあまるほどの助言と保証がなければできない。

(2)自分の生活の殆どの主要な領域で、他人に責任を取ってもらう事を必要とする。

(3)支持または是認を失うことを恐れるために、他人の意見に反対を表明する事が困難である。(:懲罰に対する現実的な恐怖は含めない事)

(4)自分自身の考えで計画を始めたり、または物事を行う事が困難である。(動機または気力が欠如しているというより、むしろ判断または能力に自信がないためである)

(5)他人からの愛育および支持を得るために、不快なことまで自分から進んでやりすぎてしまう。

(6)自分の面倒を見る事が出来ないという誇張された恐怖のために、一人になると不安、または無力感を感じる。

(7)1つの親密な関係が終わったときに、自分を世話し支えてくれる基になる別の関係を必死で求める。

(8)自分1人が残されて、自分で自分の面倒を見ることになるという恐怖に、非現実的なまでにとらわれている。

*(「DSM-IV-TR 精神疾患の診断・統計マニュアル第4版、本文改訂版」「Diagnostic and Statistical Munual of Mental Disorders, 4th edition, Text Revision : DSM-IV-TR」より転載)

 疫学によれば、依存性人格障害は女性が男性より多い。ある研究は、すべての人格障害のうち2.5%がその基準を満たすと診断した。年少児が年長児より一般的である。幼児期に慢性の疾患のある人は、この障害になりやすい。

 面接では、患者は従順なように見える。彼らは協力的で、特殊な質問も歓迎し、そして指示に従おうとする。

 依存性人格障害は、依存的で従順なさまざまな行動様式によって特徴付けられる。この障害のある人は、他者からの過剰な忠告と元気付け無しでは決断できない。

 依存性人格障害患者は責任のある立場を避ける。指導的立場に立つように頼まれると不安になる。彼らは従うことを好む。この障害の患者は自分の裁量で行う仕事に耐えることは困難であるが、他者のためにそれらの仕事を行う事は簡単であると感じる。

 この障害である人は、独りで居ることを好まないので、彼らは依存できる人を探し出す。即ち、この対人関係は他者に密着する必要性ということに関しては歪められている。

 二人組精神病(folie a deux)では、二人組みの1人は通常依存性人格障害であり、この従順な相手は自分が依存している、より攻撃的で強引な相手の妄想的な体系を取り入れる。

 悲観主義、自信なのさ、受動性、性的、攻撃的な感情に対する恐怖は依存成人額生涯患者の行動を特徴付ける。虐待する、不誠実な、あるいはアルコール依存症の配偶者を持つ患者が密着(感)を失うまいと長期間我慢している事がある。

 但し、診断過程においては、環境の条件値からそのように至っているケースもあり、実質ではこれに当たらない場合には、誤診における被害を患者に与えてしまうので要注意となる。

 依存という特性は、多くの精神的障害で見出されるため、鑑別判断が難しい。依存は演技性や境界性の人格障害で目立つ要因である。

 しかし、通常、依存性人格障害患者は一連の人々よりもむしろ彼らが依存している1人と人と長時間の関係を持ち、明らかな操作的な傾向はない。

 シゾイドと失調型の人格障害患者は回避性人格障害患者と鑑別できない事がある。

 依存的行動は、広場恐怖患者にも生じうる。しかし、顕著な不安あるいは恐慌を示す傾向がある。

 依存性人格障害の経過については殆ど知られていない。親密な指導無しでは独立して行動する事が出来ないため、患者の職業機能は傷害される傾向がある。社会的対人関係は依存できる人に限定され、自分自身を主張できないので多くは身体的あるいは精神的虐待を経験する。彼らは依存する人がいない状態が継続すると、大うつ病障害になる危険性がある。しかし、治療による予後は期待できる。

 依存性人格障害の治療は、しばしば成功するからだ。

2009年01月23日

自己愛性人格障害

 自己愛性人格障害(narcissistic parsonality disoder)患者は自分が重要であるという誇大的な感覚と、何らかの天で自分が素晴らしいという大げさな感覚によって特徴付けられる。

### DSM-IV-TR の 301.81
  自己愛性パーソナリティ障害の判断基準 ###

誇大性(空想または行動における)、賞賛されたいという欲求、共感の欠如の広範囲の様式で、成人期早期までに始まり、種々の状況で明らかになる。以下のうち5つ(またはそれ以上)によって示される。

(1)自己の重要性に関する誇大な感覚(例:業績や才能を誇張する。十分な業績がないにもかかわらず優れていると認められることを期待する。)

(2)限りない成功、権力、才気、美しさ、あるいは理想的な愛の空想にとらわれている。

(3)自分が「特別」であり、独特であり、他の特別な、または地位の高い人たちに(または施設で)しか理解されない、または関係があるべきだ、と信じている。

(4)過剰な賞賛を求める。

(5)特権意識、つまり、特別有利な取り計らい、または自分の期待に自動的に従う事を理由なく期待する。

(6)対人関係で相手を不当に利用する。つまり、自分自身の目的を達成するために他人を利用する。

(7)共感の欠如:他人と気持ちおよび欲求を認識しようとしない。またはそれに気づこうとしない。

(8)しばしば他人に嫉妬する。または他人が自分に嫉妬していると思い込む。

(9)尊大で傲慢な行動、または態度。

*(「DSM-IV-TR 精神疾患の診断・統計マニュアル第4版、本文改訂版」「Diagnostic and Statistical Munual of Mental Disorders, 4th edition, Text Revision : DSM-IV-TR」より転載)

 自己愛性人格障害者は、自分が重要であるという誇大な感覚を持っている。彼らは自分自身を特別の人と見なし、特別の待遇を期待する。批判を受け流し、誰かが非難しようとすると立腹するか、あるいは非難は全く無関心のように見える。

 また自分のやり方を望み、しばしば名声と富を熱望している。名誉を与えられる事に対する感覚は鋭い。

 しかし、彼らの対人関係は壊れやすい。習慣的な行動規則に従う事を拒絶するので、他者を怒らせる。彼らは感情移入を示す事が出来ず、利己的な結果を得るためだけに同情を装う。対人関係で利己的に人を利用するのは普通のことである。

 患者の自尊心はもろく、躁鬱傾向にある。対人関係上の困難、拒絶、損失と職業上の問題は自己愛者が自分の行動によって、よく生み出すストレスである。これらのストレスに彼らが対処する事は難しい。

 疫学においては、自己愛性人格障害の有病率は、DSM-IV-TRによれば臨床的母集団では2〜16%、一般人口では1%未満である。患者は全能感、偉大さ、美しさと才能に関して自分の子共に非現実的な感覚を与えるので、この障害を持つ親の子供には通常より発症の危険性が高くなる。報告される症例数が、確実に増加していると言う。

 鑑別診断においては、境界性、演技性、反社会性人格障害をしばしば併存するので、鑑別診断は難しくなる。

 自己愛人格障害を持つ人は、境界性人格障害を持つ人より不安が少ない。生活が混沌とすることも少なく、自殺企図もより少ない。反社会性人格障害患者は衝動行為の病歴があり、しばしばアルコールや他の物質の乱用と関係し、そのことによって頻繁に法的トラブルを引き起こす。

 演技性人格障害患者は、自己愛性人格障害を持つ人に見られる類似しア露出症と操作的対人関係の特徴を示す。

 経過と予後においては、自己愛性人格障害は慢性化し、治療が難しい。この障害の患者は、自らの行動、または人生体験に由来する。自己愛に対する打撃に絶えず対処しなければならない。患者は美しさ、強さ、若さに不当に高い価値を置き、それに執着するため、華麗にうまく対処できない。それゆえ他の障害より中年期に傷つき易い。

 精神療法においては、自己愛性人格障害を持つ人の治療の成果を上げようとすれば、自己愛を放棄しなければならないので、自己愛性人格障害の治療は難しい。

 カーンバーグとコフートの「精神分析的接近法を用いることにより変化をもたらした」とする主張があるが、これを妥当とし、裁量の治療法を決定するには多くの研究が必要とされる。また「理想的な環境において分かち合いを学ぶ集団療法により、他者への共感的反応を促すことができる」と論ずる研究者もいるが、自己愛に固執する質量が高いほど難しくなるため、自己愛性人格障害の治療に妥当とされる治療法は、まだ見出されていない。

演技性人格障害

 演技性人格障害(histrinoic personality disorder)を持つ人は興奮しやすく感情的であり、華麗で、劇的で、外交的に行動する。しかし、彼らの華々しさの陰には、しばしば長期にわたる深い愛着を維持する能力の欠如が存在する事がある。


### DSM-IV-TR の 301.50
  演技性パーソナリティ障害の判断基準 ###

過度な情緒性と人の注意を引こうとする広範囲な様式で、成人期早期までに始まり、種々の状況で明らかになる。以下のうち5つ(またはそれ以上)によって示される。

(1)自分が注目の的になっていない状況では楽しくない。

(2)他者との交流は、しばしば不適切なほど性的に誘惑的な、または挑発的な行動によって特徴付けられる。

(3)浅薄で素早く変化する感情表出を示す。

(4)自分への関心を引くために絶えず身体的外見を用いる。

(5)過度に印象的だが内容がない話し方をする。

(6)自己演劇化、芝居がかった態度、誇張した情緒表現を示す。

(7)被暗示的、つまり他人または環境の影響を受けやすい。

(8)対人関係を実際以上に親密なものとみなす。

*(「DSM-IV-TR 精神疾患の診断・統計マニュアル第4版、本文改訂版」「Diagnostic and Statistical Munual of Mental Disorders, 4th edition, Text Revision : DSM-IV-TR」より転載)

 演技性人格障害患者は、甚だしい注意要求行動を示す。彼らは全てのものを実際以上に重要に感じ、考えや感情を誇張する傾向がある。注目の的にならなかったり、あるいは賞賛や承認を受けないと癇癪を起こし、涙し、非難をする。

 誘惑的行動は、男女共に見られる。患者が関係している人に対しての性的な幻想はよくみられるが、しかし、患者のこれらの幻想についての言語化は一貫しておらず、性的に積極的であるより寧ろ恥ずかしかったり、遊戯的であったりする。

 事実、演技的な患者は心理的性機能障害(psychosexual dysfunction)を持っている可能性があり、女性は不感症で、男性はインポテンスである事がある。このことから、彼らは、異性にとって魅惑的だということで自分自身を安心させるために性的行動に基づいた行動をするのだろうと推測されている。

 彼らの安心への要求には終わりがない。対人関係は表面的な傾向があり、自惚れが強く、自己にとらわれ、そして気まぐれである。その反面、強い依存要求により彼らは過度に信用してしまい、騙されやすい。

 演技性人格障害患者の主な防衛は、抑圧と解離である。それゆえに感情は自分の本当の勘定に気がつかず、動機を説明する事が出来ない。ストレス下では、現実検討が容易に障害される。

 診断においては、演技性人格障害患者は面接では一般的に協力的で、詳細な病歴を提供しようとする。会話における身振りと演技的な中断はよくみられる。

 彼らは非常に饒舌で、言葉も華やかである。感情表出は一般的であるが、特定の感情(怒り、悲しみ、性欲)を認めることを強いられると、驚き、憤慨し、あるいは否定的に反応する。

 数学もしくは集中課題で忍耐不足が認められても、認知機能検査の結果は通常正常であるが、感情が付加された材料に対する記銘力の悪さは驚くほどであると言う。

 鑑別診断においては、演技性人格障害と境界性人格障害の鑑別は難しい。境界性人格障害では、自殺企図、同一性拡散と短期間の精神病がより多く認められる。両方の障害が同一患者で診断される場合もある。しかし、この場合は臨床医はこの2つを分けるべきとしている。

 身体化障害(ブリケ症候群)は演技性人格障害と共に生じる可能性がある。また、短期精神病的障害と解離性障害のある患者は、演技性人格障害があると診断してもよい、とされる。

 無論、この診断基準は「カプラン・臨床精神医学テキスト〜DSM-IV-TR診断基準の臨床への展開」を元にしたものである。

 DSM-IV-TRによると、一般人口研究(米国基準)における限られた資料では、演技性人格障害の有病率は2〜3%である。構造的な評価では、精神保健施設の入院及び外来患者の約10〜15%にその診断が下されている。身体化障害とアルコール使用障害との関連を見出した研究もある。

 経過と予後においては、演技性人格障害は、症状が年齢と共に減ずる傾向にある。若いときと同じ活力はないため、その違いは実際より明確に見える。しかし、患者は人騒がせであり、法律上の問題を起こしたり、物質を乱用したり、そして気まぐれに行動したりすることがある。

 精神療法においては、演技性人格障害患者は、自分の本当の勘定にしばしば気がつかない。それゆえに彼らの内的感情の解明は重要な治療過程であるとされる。集団であれ、個人であれ、精神分析的に方向付けられた精神療法は、演技性人格障害に選択すべき治療法であろうとDSM-IV-TRのテキストでは推薦されている。

反社会性人格者について

 反社会性人格者(antisocial personality disorder - APD)とは、青年期と成人期を通じて存在する社会的的規範に従う能力の欠如をさす。

 継続的な反社会的行動や犯罪行為によって特徴付けられるが、犯罪性とは同義語ではない。

 一般的には逸脱性を示す。これに関する研究過程には逸脱性の認知行動といった研究も行われており放送大学で講義されている。

 国際疾病分類代10版「10th revision of the International Statistical Classification of Diseases and Related Health Problems : ICD-10」では、この障害に対して非社会性人格障害「dissocial personality disorder」という用語が用いられている。


### DSM-IV-TR の 301.7
反社会性パーソナリティ障害の診断基準 ###

A. 他人の権利を無視し、侵害する広範囲な様式で、15歳以降起こっており、以下のうち3つ(またはそれ以上)によって示される。

(1)法にかなう行動という点で社会的規範に適合しない事。これは逮捕の原因になる行為を繰り返し行う事で示される。

(2)人を騙す傾向。これは繰り返し嘘をつくこと。偽名を使うこと。または自分の利益や快楽のために人を騙す事によって示される。

(3)衝動性または将来の計画を立てられないこと。

(4)いらだたしさ、および、攻撃性。これは身体的な喧嘩、または暴力を繰り返すことによって示される。

(5)自分または他人の安全を考えない向こう見ずさ。

(6)一貫して無責任である事。これは仕事を安定して続けられない。または経済的な義務を果たさない、ということを繰り返すことによって示される。

(7)良心の呵責の欠如、これは他人を傷つけたり、苛めたり、または他人のものを盗んだりしたことに無関心であったり、それを正当化することによって示される。

B. その人は少なくとも18歳である。

C. 15歳以前に発症した行為障害の証拠がある。

D. 反社会的な行為が起こるのは、統合失調症や躁鬱エピソードの経過中のみでない。

*(「DSM-IV-TR 精神疾患の診断・統計マニュアル第4版、本文改訂版」「Diagnostic and Statistical Munual of Mental Disorders, 4th edition, Text Revision : DSM-IV-TR」より転載)

 反社会性人格障害患者は、経験豊富な臨床医の目を欺くことがある。面接中落ち着いて信用できるように見えるかもしれない。しかし、その見せ掛け(もしくはクレックレイ「Hervey Cleckley」の用語を借りれば、正気の仮面)の下には、緊張、敵意、焦燥感と怒りが存在する。

 病理を明らかにするためには、患者の吹く暦における矛盾を指摘し直面かさせるストレス面接が必要であると言う。

 診断的診察は、徹底的な神経学的検査を含むべきだとする。これには、幼児期の微細な脳損傷を示唆する脳波異常や微細な神経学的兆候をしばしば患者が示すためであり、これらの所見は臨床的印象を確認するのに役立つ。

 反社会性人格障害患者は、しばしば正常に見え、魅力的で愛想のよい外見を示す事さえある。しかし彼らの病歴には、多くの生活領域における機能の障害が表れている。虚偽、ずる休み、家出、盗み、喧嘩、物質乱用、不法行為は、子供の頃から始まったと患者が報告する場合には典型的な体験によるケースに該当する。

 しばしば反社会性人格障害患者は、緯線の臨床医には華やかで誘惑的な印象づけるが、同性の臨床医は彼らを操作的で自分本位と見なすだろう。

 反社会性人格患者は、彼らの状況とは非常に不釣合いにみえる、不安あるいは躁鬱状態の欠如を示し、反社会的な行動に関する彼ら自身の説明には考えがないように見える。自殺する恐れと身体へのとらわれはよくある。それにもかかわらず患者の心的内容は、妄想や他の不合理な思考の兆候を全く欠いている。実際彼らは、現実検討において他界観受精を示す。彼らはしばしばよい言語知能を持っているように、観察者に印象付けると言う。

 反社会性人格者は、いわゆる詐欺師によって代表される。彼らは非常に巧みに人を操り、しばしば金銭を得るための、また、名誉と評判を得るための陰謀を他者に言葉巧みに語る。

 反社会性人格障害患者は真実を告げず、どのような仕事にせよ、それを遂行する事が期待できず、いかなる習慣的道徳にも従うとは考えられない。乱雑さ、配偶者虐待、児童虐待、飲酒運転は患者の人生で一般的な出来事である。特記すべき所見は、それらの行動に反省がないことで、つまり、患者は良心を欠いているように見える。

 鑑別判断においては、反社会人格障害は、この障害が患者の多くの領域を巻き込んでいるという点で、単なる違法行為とは鑑別されうる。反社会的な行動が唯一の症状である場合には、DSM-IV-TRにおいては、臨床的関与の対象となりうる状態の中の成人の反社会的行動という区分に分類される。

 ルイース(Dorothy Lewis)は、これらの患者の多くは、今まで見落とされていたり診断されたかった神経学的障害、もしくは神経学的障害であることを発見している。

 実質のところ、反社会人格障害の物質乱用との鑑別はいっそう難しいとされており、物質乱用と反社会的な行動が小児期から始まり、そして成人まで続く場合には、両方の障害と診断すべきとしている。

 しかし、反社会的行動が、明らかに発病前のアルコール乱用やその他の物質乱用から生じた二次的なものであるときは、反社会性人格者の診断はなされない。

 反社会性人格者の診断の際には、臨床医は社会経済的状況、文化的背景、そして性の関与がその発現に与えるゆがんだ影響を調整しなくてはならない。さらに精神遅滞、統合失調症もしくは躁病によって症状を説明することが出来るならば、反社会性人格障害の診断はなされない。

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人格(パーソナリティ)障害とは

 「人格(パーソナリティ)」は、一般に目に見える人の行動、および主観的に報告できる内的経験を包括的に記述するための標識として使用される。

 このように示される個人の全体は、その個人の生き方の公的、私的、両方の側面を表す。

 「人格」という言葉は、現れている現象の物理を示す、攻撃的、受動的、というように、生物学的な意味合い、且つ、理学的な意味合いを持つことや、精神医学的意味を持つ限定形容詞を伴っている事があるが、あるいは、性質を現すものとして、野心的、信仰が厚い、好意的…など、病理学的含蓄を持たない形容詞を伴っている事もある。

 精神医学や臨床精神医学においては、人体の構造を基礎にした理学的な解釈(理学系)を土台としているため、心理学で扱うもの学問(文学系・人類社会科学系)とは全く違った解釈となる。


 人格障害の診断を構成する一尾一貫した一連の資質には、所与の状況下でその人がどのように振舞うかについての予測が含まれる事になる。

 その資質は、もしその人が精神疾患に罹患するとすれば、その疾患が呈しうる発現形式を示唆することにもなり、それは、その人の能力障害や治療的接近法に関する手掛かりを臨床医に提供する。

 即ち、精神疾患に関するものについては、DSMやICDにおいて診断基準が設けられているが、厳密にいえば、DSMとICDにおいては統一されておらず、同じDSMでもDSM-IVとDSM-IV-TRとでは、判断基準が異なるものがあるため担当医がどの判断基準を使用するのかで左右される。誤診されるケースが多い誤診問題を生じさせる精神疾患もあるが、何れにせよ、判断基準によって診断される。

 精神科診断用語として用いられるにせよ、一般用語として用いられるにせよ、人格標識は、その人と関わらなければならない医師(或いは、精神疾患者と接しなければならない当事者)にとって必要不可欠なものとなる。

 因みに、トラウマと関連性が深いASDやPTSDやC-PTSDは人格障害には該当しない脳神経系の損傷による障害や後遺症である。即ち、脳神経系のシステムの破損による障害であって、生理面上の物理現象による。

 厳密には、ASDやPTSDやC-PTSDは自己防衛機能が発達したもので、自身のみを守るために、環境に対応できるようにそれを発生させている。神経系が深く傷がつくと環境に対応できないまでの障害を引き起こすことがあるため、ASDやPTSDの診断基準や治療法があり、一度傷つくとなかなか治らないが、フラッシュバックが発生し難いような、適した環境が整っていれば回復する事は可能とされる。


 人格障害(パーソナリティ障害)を持つ人は、不安障害、うつ病性障害、あるいは、強迫性障害を持つ人よりも精神科学的援助を拒絶し、また自らの問題を否定する可能性が遙かに高い。

 人格障害の症状は、環境変容的(alloplastic:外部環境に適応したり、それを変容させたりする)で、しかも自我親和的(ego-syntonic:自我による受け入れが可能)である。

 人格障害を持つ人は、自らの不適応行動について不安を感じない。症状は他者には認識されるが、彼ら自身は症状に由来する苦痛に通常は気づかない。しばしば治療に無関心で回復を望む事も無い。


 精神疾患の診断・統計マニュアル第4版、本文改訂版(Diagnostic and Statistical Munual of Mental Disorders, 4th edition, Text Revision : DSM-IV-TR)では、人格障害は、文化的基準から逸脱した主観的経験と行動が永続的に堅固に固定化し、青年期または成年期早期に始まり、期間中ずっと安定し、それが不幸や障害繋がるものと定義されている。

 ここでは、堅く不適応的な人格特性(parsonality trait)によって機能障害や主観的苦痛が生じるとき、人格障害と診断される可能性があることを示唆されている。

 尤も、可視上での観測は一概にも言えず、判断基準の中ではどれ氏も当てはまるように見えるだけ、判断基準のみ説明された抜粋した手引きだけでは誤診にもなりやすい。

 診断するには、実際に認知行動や心理状態が一致するものか詳細まで見なければ容易に誤ってしまう可能性が高い。


 因みに、私が持つC-PTSDやトラウマに関する障害とも関連性がある性嫌悪症や性機能不全は人格障害に当たらない。環境における問題について、生存危機の感覚が非常に強いのも被虐待児のサバイバーであるからにある。

 人間嫌いも加害されたC-PTSDやトラウマが原因となっている。ただ個人の趣味に耽っているだけだから、引き篭りでもない。一匹狼なのは一人っ子だから一人で生きていけるように、幼少から両親にスパルタ教育を受けてきたことにある。

 一般人と違う事は、「自我がないこと」や「自己の存在価値がまったくない」ことにあり、「生存危機から問題を解決す用とする認知行動パターン」や「"環境に望まれて存在するわけではない"とするトラウマから発生する自己殺傷傾向パターン」が胎児期にしっかり構築されていた事であり、生存危機を発生させる原因が被虐待児だった父の障害で幼児期まで根っから嫌われて虐待されたために「異性に対応する能力が完全に欠落している」ことにある。しかも、胎児期の段階のエラーで別性の男脳を持つ…。だからなんだろう、理論計算や物理的な解釈に強い。

 残念ながら、今のところ、自分にはパーソナリティー障害と言うものには当てはまらない。それは子供の頃から専門書を漁っては問題解決しようとしてきたからなんだろうと思う。悪いところが見つかり次第改善に努力し治すように努力して対処した。何故かと言えば問題で生じる苦しみが一番嫌だからにある。だから根本から断つ。自身が問題なら容易に取り組む事が出来る。そういった認知行動パターンは、要は、始めのうちは親の姿を見よう見まねで対応してきたわけなんだが、それが固定化されたのは10歳の頃である。それは日常生活で問題を抱えていたからなしえた話だった。


### お奨めの著書 ###

■『パーソナリティ障害―いかに接し、どう克服するか

 わかりやすく説明された本書で、手軽に読む事が出来るほか、対応の仕方が書かれれいる実用書となっている。個人的な話では、これにあげられているものの中には、どれも私に当たるものがない。このためしばらく「何故だろう?」とか、「人格崩壊しきった自身では、もはや自分は人間じゃないのかな?」などと一時は考えたが、要は、障害に当たっていないという事なのだろうと解釈するに至った。

このため、自分自身については特に役には立っていないが、ヒトと関わる際で問題が生じたときに良いガイダンスとなった。依存ではなく、胎児期のトラウマで発生した自己殺傷で「自我そのものが無い」場合はどうなんだろうね…。と思う。生まれてからは生存危機でやたらと自身を殺してきた。気がつけば何も残っていなかった。児童期には何も無かった。ただ、C-PTSDやトラウマでフラッシュバックしていただけであったりする。


■『パーソナリティ障害とむきあう―社会・文化現象と精神科臨床


現在臨床心理学においての矛盾点の考察や検討をミリ単位で行っていた林直樹先生のテキスト。

もっと詳細データを入手したければ、万単位になるが、林直樹先生のテキストは他の専門書より密度が非常に高い。お奨め。

 因みに判断基準を用いての診断においては、実際では「そのように見える」ものであっても、それなりの理由がある場合がある。環境における条件値によって引き起こしている可能性もあるため、見た目だけでは判断しがたいところにある。

 このため、より多くのデータを必要とし、心理動向や認知行動パターンが診断される病理に全て当てはまるか十二分に吟味されなければならない。

 判断基準のハンドブックでは判断基準のみを抜粋されたものが発刊されているが、実際の病理では、1つ1つの病理についてはかなり奥が深く、突き詰めて追っていけば、該当しない可能性も高い。

 このことから、せめて、必要最小限の知識として、臨床医学の体系をテキスト化(医学・生物学・化学も包括している)した「カプラン・臨床精神医学テキスト〜DSM-IV-TR診断基準の臨床への展開」に書かれている要所に目を向けられなければならない。

 しかし、「カプラン・臨床精神医学テキスト〜DSM-IV-TR診断基準の臨床への展開」を通してみても、物事の成り立ちや流れから考えてみれば、疑問点がいつくか生じる。また、使われている言語について重なる言語であって違う意味を示す言語も多数あるために誤解を受けやすい状態となっている。

 例えば、「人格(パーソナリティ)障害」p864に「解離」という項目の説明があるが、この「解離」は「解離性障害」の規定で扱う「解離現象を示す【解離】」ではなく、「底抜けの楽天家よろしく不愉快な感情を心地よいものに置き換えてしまう」とある。訳し方の問題もあるのだろうが、要は、そういったテキストの中でも矛盾点がある場合があるので、要注意してみていく必要性がある。

 このように1つずつ物事を組み立てながら行っている上で、理論展開を行っている。


 尚、日常生活に支障をきたさない場合や私生活に障害をきたさない場合には、障害には当たらない。このため、私のように、医療機関に行っても、面談の診察状において正常すぎるほど正常すぎると言われて治療を断られるケースさえある。つまり物事を正確に認識しすぎてのうつ状態だったのだが、対処できると判断されたのか、追い出された。

 実はこの話は私が学生当時の話で、その頃も既に周りに反社会性人格者やらパーソナリティ障害者などが多く危害が加えられやすい状態であって、世の中、何だかおかしな流れになっていた頃の話である。

 日常生活が行きづらい事からのもので発生した鬱なんであるが、当時の医学書ではわからなかったので医療機関を頼った。面接場で問題を引き起こしている悩みから、対処の仕方を述べた上で、自分はどこがおかしいんだろうと質問したからだろう。「正常すぎるほど正常すぎる。寧ろ、一般人よりも正常すぎる」と言われ、うつ病の治療をされる前に追い出されたという話である。

 要するに「間違った事は何一つ言っていないのだから【自分に自信を持て】」と言うところだったのだろうか、私が抱えている問題について怒りを抱いたのか、どうなのか、吐き捨てるようにいわれただけに、定かではない…。

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