2009年01月20日

ヒステリーの歴史

「解離」がヒステリーの症状形成をめぐる主要な概念として使用され始めたのは1890年代終わりごろにあたり、「解離」という言語は、「第一次力動精神医学(1775〜1900)」におけるヒステリー症状形式の説明概念に由来することで知られており、勿論、解離性障害に相当する病態は古くから知られている。

 「ヒステリー」については、DSM-V、ICD-10よりでは病因論を排し、特定の理論に依拠しない方針が採られたため、「ヒステリー」は疾病分類の表舞台から姿を消した。


1.『Mesmer

 ヒステリーという言葉を神経症との関連において最初に用いたのは、Mesmer F.A.(1734〜1815)である。彼は跋魔術から力動精神医学への転回点に立つ。彼はヒステリー患者(現在の解離性障害をもつ患者)に「分利(crise)」を起こさせることで治療を行った。(dat:『Crise (médecine)』)

 Mesmerは自分の体内の「動物磁気」が「交流(rapport)」を介して、患者の中に磁気流を生じさせたと考えた。

 即ち、Mesmerは宇宙に偏在する物理的流体が存在し、その平衡と失調とで健康と病気が説明できると考えた。当時からすれば、一見疑似科学のように思える考え方だが、実はまんざら嘘ではない。彼自身はこれを大発見と思い込んでいた。しかし、この考え方は古代インドのバラモンの知識や、中国の気孔術と同等のものにあたるもので、古代から考えられ民間で行われてきた療法である。

 Mesmerの理論では、病気は、流体の量的不足、分布異常、質の粗悪さ、この三種類によって説明された。磁気術師は「交流」を介して自らの良質な流体を患者に移し、患者の中の平衡を回復させるものと考えられていた。

 また当初、彼の弟子として出発したPysegur,J.(1754〜1848)は「物理的流体」の実体性を否定し、むしろ施術者の意思が治療に働くと考えた。即ち「暗示」や「催眠術」のようなもののことだろうか…? 彼は、人口夢遊病状態を作り出し治療を行った。

 実のところ、Mesmerの理論においては、心当たりがある。何故なら、動物は磁気を感知して行動するという習性は生物学では知られているあたりであり、生物にとって、磁気は必要不可欠なものとなることは、自然科学の有識者の中では誰しも知っている話となる。

 また、磁気は巨大地震などでは一部の生物に影響を与えている事も知られている事から、磁気が与える生物の影響についての研究課題さえある。

 これらに関する研究は現在のところでは、まだ詳しくは解明されていないが、生物物理学の理論上の可能性としては残されている。

 私的には、個人の体験の上で知っている事といえば、ヘルニアなどの脊髄疾患である場合には磁気の影響を受けやすいということや、自律神経失調症の場合にも磁気の影響を受けやすいということであり、心身ともに健康でない場合には、生体を営むシステムが不調になり、システムのメカニズムへのストレス付加で障害を引き起こし易くなるということである。

 物事の道理としては、身体が不健康である場合には、生体システムに障害が出た場合には精神的なストレスが掛かり、そのストレスが自律神経系や免疫システムに障害を引き起こし、生体システムに障害を引き起こしては精神的なストレスが付加される…といった悪循環が生じる。また、精神的なストレスから自律神経失調症を生み、免疫システムまでも障害を引き起こし、生体システムを壊しては、精神的なストレスが生じる…とった悪循環が生じる。

 こういった人体のシステムの物理構造を土台にした上で、物理学の知識を用い(現在は生物物理学といったジャンルがある)、これを、ヒステリーについての概念として、Mesmerの理論に適用する事は、科学技術が進んだ今ではさほど難しくないのではないかと思う。

 現実的に医療に反映させるためには、生物学の知見が非常に重要になる。現象を解明するためには、イオンチャネルといった流れを見なければならなくなる。そうすると、必然的に磁気や粒子など、それらを扱う物理学の観点が必要となる。つまり、医学だけではなく、工学的な知見が必要になる事もある。

 こういった試みの場合、設計図の段階から、リスクやデメリットを計算した上で、ロジック上で組み立てているから、被験者のリスクは少なくて済む。

 つまり、私が行おうとしている事がこれにあたり、個人研究の1つに挙げている。

 逆に、Pysegurの「むしろ施術者の意思が治療に働くと考えた」ことについては、精神医学系の歴史から想定すれば、容易に理解する事が出来る。つまり、物理学的な知見が無く、ファンタジーやSFにあるような仮想的な仮説で研究が進められてきたことが多かったからだろう。

 少なくとも、生物学や物理学的な知見があるのなら、実数が割り出せるから、こうはならない。

 Pysegurの実験は代謝工学的な手法で仮想で行われた実験であるだけに、実用性の高いものではない。しかし、大まかなメカニズムを把握するためには、代謝工学的な手法で仮想で行うモデルを用いる事は有効となる。だが、この手法はあくまでも大まかな相場の把握しかできない。

 しかし、このような手法をとったのは、被験者に大きな負担が掛かるためにリスクの軽い方法を用いたのかもしれない。

 何故なら、臨床実験による被験者による被害は当初から多くあり、1980年代には米国では裁判沙汰となっているほどである。

 当時の研究状態や現在までの状態など考えれば、「むしろ施術者の意思が治療に働くと考えた」その方向性も、まんざら間違いではないだろう。


 尚、このデータは専門過程での学術上のベタの話となる。これらの情報は専門テキストや科学ベースの専門書で確認する事が出来る。

 現在は多方面の分野からの研究が入っているので妥当なデータが挙げられるようになっているが、精神医学系は昔はひどく大雑把なものであって実用的なものとは程遠く、医学とも言い難かった。

 具体的な治療法ができるようになったのは近年の話で、認知行動療法が板についてから促進された。ポストゲノムでヒトゲノム解読達成以降、人体のメカニズムの詳細がわかるようになって脳神経科学も発達している最中である。乗り遅れているのが精神医学で、分子レベルの考察の知見はまだ根付いていない状態となる。

 現状は、精神医学での診断基準でさえ、機関や各国についても違うことから、統一さえされていない状態となっている。

 しかし、だからといって精神医学系は全滅かといえばそういうわけでもなく、研究者によっては、よく吟味されながら論考されたもので構築されているモデルもあり、研究チームによっては、多方面より有識者をメンバーに揃えて、出来る限りの討論を行い整理を行っているものもある。

 要は、次の改定を待つしかなく、来る2012年までに十二分に基準についてよく吟味された上で、一定とした判断基準に改定される必要があり、各診断ケースにおいては、出来る限り実用性があるものに改定した上で、判断基準に反映させなければならない。

 ここに挙げているのは「解離」のメカニズムに関するデータとして、関連するデータを挙げている。

 再三言わなければならないのは、誠に遺憾なのだが、このような科学におけるデータを挙げるにおいても、アダルトコンテンツなどの一連の流れで比喩で関連付けるのはやめてくれないかな。



### 関連記事 ###

解離性障害の概念史
解離とは

posted by 0≠素子 at 11:51| 『解離』について | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

解離性障害の概念史

 『解離とは』より。

 「解離性障害」が独立した疾患として疾病分類に収載されたのは、1980年のDSM-Vが始まりとなる。

 この当時、Ellenbergerは、第一次力動精神医学の特徴として以下の5点を挙げている。

### 第一次力動精神医学の特徴 ###

@催眠術を無意識に到達する主用接近路として用いた。

A自動自発性敵夢遊病、嗜眠状態、カタレプシー、多重人格など臨床象が重視された。19世紀の終わりには、次第にこれらの病像がヒステリーとして収劔していった。

B人間心性のモデルとして、意識/無意識モデルが想定された。後に、このモデルは修正され、意識される単一人格と、その底辺に存在する下位人格郡の緩い集合体と考えられるようになった。

C神経症の新しい病理論を提出した。当初、それは未知の流体と考えられたが、これは後に心的エネルギーに概念に置き換わった。

D治療のチャンネルとして「交流(rapport)」が用いられ、催眠術と暗示療法が行われた。Mesemerは「交流」を物理的(電気的)な現象として理解した。その後、磁気術師や催眠術師により心理学的彫啄を受け最終的には、Janetにより術者への心理的依存として定式化された。

 国際疾病分類では、1992年のICD-10の診断基準が規定されるまで待たなければならなかった。

 『ヒステリーから解離性障害へ.解離性障害.精神医学レビュー no.22』において高橋徹氏の説によれば、「解離」がヒステリーの症状形成をめぐる主要な概念として使用され始めたのは1890年代終わりごろであるという。

 無論、「解離性障害」に相当する病態は古くから知られており、DSM-Uでは「ヒステリー神経症(hysterical neurosis)」として、また、ICD-9では「ヒステリー(hysteria)」として取り扱われていた。

 従来の概念から改定されたDSM-V、ICD-10では病因論を排し、特定の理論に依拠しない方針が採られたため、「ヒステリー」は疾病分類の表無頼から姿を消した。


 「解離」という言語は、「第一次力動精神医学(1775〜1900)」におけるヒステリー症状形式の説明概念に由来することで知られている。事実、近年の解離性障害に関する神医学的議論は、第一次力動精神医学の影響を色濃く受けている。

 「解離」については、解離性障害の研究を専門とする研究者によって、ヒステリーに関するJanet,P.の業績が再発見されることになり、その思想が理論的先駆として高く評価されている。

posted by 0≠素子 at 06:22| Comment(0) | 『解離』について | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年11月26日

解離とは

 一過性の軽い解離は、日常生活の中でも、酷い緊張や不安から免れているためによく使われている。

 例えば、人は突然の不安にボーっとしたり仰天したりなどする。もしくは、もう一つ別の世界にあるように振舞う事もある。また、今突然起こった事故について何も思い出すことが出来ない。その後まもなくして、実はその事故の間、十分に覚醒していた事を示す例もある。

 さらには、つかの間の非現実感や離人症のエピソードはしばしば経験するもので、例えば、悪い知らせを聞いた後など、全てが突然に違って不思議な様子に見えたり、自分自身が非現実的に感じられ見たり聞いたりしているのは、実際には自分自身ではないような気がしたりする。

 例えば、毎日の生活から逃避するに、温泉旅行に出かけたとする。その目的は、いわば逃げる事であり、全てを忘れることが出来たとしよう。また、仕事に打ち込むことでもいいし、趣味に打ち込む事でもよい。そうする事で忘れる事ができたとしても、全てを忘れているわけではなく、また戻ってくると、その逃避した時間の全てを話す事が出来る。

*(注1:尚、自分の場合は一過性の解離で、寧ろ、生まれつき患っている頚椎・胸椎・腰椎のヘルニアがあることや脳髄液減少症になりやすいため、生体構造が元々脆弱であることから、ストレスで解離が起きれば、先に身体の異常が出る。)

*(注2:尚、注1の身体の異常については、身体表現性障害に含まれる「転換性障害」の可能性もあるが、極端な性嫌悪症が発生してすぐにヘルニアの障害がでることや、ストレス環境が続いた場合にはヘルニアの障害が元々出ているため、ヘルニアの障害である可能性が非常に高い。また、闘病生活が過酷であったため、ヘルニアの闘病生活に関わる障害や症状についてのトラウマやPTSDが存在し、殆どが痛みによるものだが、これも重度となる。)

 しかし、解離性遁走に逃げる人は、遁走の間、全てを忘れる事が出来る。そして、遁走から抜け出たときも、遁走の間に起こったことについては何も覚えていない。解離性遁走の目的はまさしく逃げて忘れる事になる。

 こういった解離性障害における解離と正常な解離には連続性があると考えられている。即ち、一時的な急場しのぎの軽い解離という解離という方法が、あまりにも長く続き、もしくは個人のコントロールをはるかに超えるときには、解離は異常となる。

 そして、甚だしい解離性健忘は、人を、その人自身の過去から切り離す。

 尚、解離性障害の分類としては、「解離性健忘」「解離性遁走」「転換性障害」「特定不能の解離性障害(ガンザー症候群)」「解離性同一性s障害」「小児期あるいは青年期に見られる一過性解離性(転換性)障害」「特定不能の解離性障害(他の特定の解離性障害・転換性障害。心因性錯乱・心因性もうろう状態)」「離人症性障害」「特定不能の解離性障害(解離性障害・転換性障害、特定不能のもの)」「急性ストレス障害(急性ストレス反応・後遺症がPTSD)」としている。


 次回、解離の概念や定義について、ふれて行きたいと思う。

posted by 0≠素子 at 14:32| Comment(0) | 『解離』について | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

広告


この広告は60日以上更新がないブログに表示がされております。

以下のいずれかの方法で非表示にすることが可能です。

・記事の投稿、編集をおこなう
・マイブログの【設定】 > 【広告設定】 より、「60日間更新が無い場合」 の 「広告を表示しない」にチェックを入れて保存する。


×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。